メジナ(グレ)ってどんな魚?
メジナと言えば釣り人に大人気のお魚です!
磯釣りを代表する魚で、釣り人からは「口太グレ(クチブト)」とも呼ばれています。
海が荒れるとたくさん漁獲されると言われるよね!値段も安いしおすすめの魚!
メジナの体型
メジナの体型としては、頭部が小さく、体高が高めで少し寸づまりなような可愛い体型をしています。平均サイズは30センチほどですが、大きいものだと最大で60センチほどにまでなるものもいます。(現在の記録だと最長のものは67.5センチ)
生前は青、緑、茶などの色をしている
メジナと言えば真っ黒な魚という印象がありますが、生前は少し明るい色をしていてまだら模様のような模様も見えます。
色は個体によってバラバラで、青・緑系の色をしているものもいれば、茶系の色をしているものもいます。成長度合いによって色が変わるという意見もありますが、あまり関係ない印象ですね。
死後は黒ずんだ体色になります。
メジナと言っても、クロメジナ、オキナメジナという種類もいる!
メジナと言っても実はメジナ、クロメジナ、オキナメジナの3種がいます。
特にメジナとクロメジナが人気ですね。オキナメジナは琉球列島など南の方に多い種です。
メジナとクロメジナはすごい似てるよね!
クロメジナは「尾長グレ(オナガ)」とも呼ばれて、釣り人的にはメジナよりも人気な傾向にあります。以下はクロメジナです。
とても似ているメジナとクロメジナですが、一応別々の種類です。
ここでは簡単に見分け方を見てみましょう。
メジナ(クチブト)とクロメジナ(オナガ)の見分け方
主な見分け方としては以下のようなポイントがあります。慣れれば一目でなんとなく見分けられるようになりますが、若魚の時は見分けるのが難しいです。
メジナは体高が高めで、寸づまりのような体型をしていますが、クロメジナは少しスマートな体型をしています。さらに、クロメジナのほうがメジナよりも体長が大きくなります。
体色、エラ縁、ヒレだけでは見分けが難しい場合も…
よく言われる見分け方のポイントとしてあげられるのが、体色、エラの縁が黒くなっているかどうか、ヒレの形状などです。しかし、これだけでは確実な判断ができません。
体色に関しては本当に変異が大きいです。また、エラの縁が黒いかどうかといった見分け方についても、メジナでもエラの縁が黒いものは多いです。
メジナもエラの縁が黒いことが多いよね。鮮度が落ちてくると色が抜けてきたりするよ。
ヒレの形状についてですが、クロメジナは尾ビレの付け根がスマートで、ヒレの形状も上下葉が伸びており、メジナより長めです。そのため「オナガ」と呼ばれますよね。
ただ、尾ビレの形状で見分けるというのも、メジナもクロメジナ同様の形状をしていることもあるため、ヒレの形状だけでは確実な判断ができません。メジナでも外洋を泳いでいるものはクロメジナのようなヒレの形状になるのかもしれませんね。
確実な見分け方としては歯と鱗
確実な見分け方としては、歯の形状と鱗の枚数で見分けると良いでしょう。
以下のような歯の形状の違いがあります。
参照元:NPO法人黒潮実感センター_新聞記事いろいろ_2008年09月26日(金) 高知新聞夕刊 磯釣りの人気者、グレ
(歯の形状の写真は準備中です…)
メジナの歯は歯ブラシのように2〜3列になっているのに対し、クロメジナの歯は一列となっています。歯の形状の違いはそれぞれの食性の違いからと言われています。メジナは岩などに付いている海藻や藻を歯で削るようにして食べるため、歯ブラシみたいな形状をしてるんですね。
でもいちいち歯の形状をチェックするのは面倒です。メジナは前鰓蓋骨部分がするどくで危険なのであまり口元をいじりたくありません。
見分けやすいポイントとしてはやはり鱗かもしれません。
側線上方横鱗の数で見分けます。まあ何言ってるんだって感じるかもしれませんが、上記画像を見てもらえれば分かるように、鱗の大きさと細かさが異なります。
これら複数の見分け方のポイントを考慮することで、メジナとクロメジナの見分けができるようになってきます。
メジナの生態と特徴
メジナは北海道南部から台湾、東シナ海までと広くに生息している魚です。
浅め(水深50メートル以浅)の岩礁域を好んで生息します。汽水域付近にもいることがあります。
幼魚は木っ端グレと呼ばれる
20〜25センチくらいを基準として、それ以下の小さいものは木っ端グレと呼ばれます。釣りではよく釣れてしまうのですが、外道として扱われるため「木っ端(取るに足らないもの)」と言われます。
メジナは超雑食
メジナは雑食の魚であり、時期によって食べるものが変わるという特徴があります。
これがメジナの美味しさや個体差に影響しているとも言われますね。
メジナの産卵期は2〜6月の梅雨ごろまでとなるのですが、産卵を終えて体力を消費すると、産卵で失った栄養を取り戻そうと何でも食べるようになります。
主には海藻を食べるメジナですが、夏には小魚、甲殻類などの動物性のエサも食べるようになります。
ミカンすら食べる
メジナは何でも食べることから、ミカンすら食べるため、静岡県ではミカンをエサにして釣る「ミカンクシロ」というものまで存在します。
雑食のせいで夏は磯臭くなることも
夏の頃は何でも食べることもあり、動物性や植物性など、いろんなものを食べるため、それが原因で磯臭くなりやすいと言われています。
僕も最初にメジナを捌いて食べた時は、磯臭さを感じ、メジナに対してあまり良い印象を抱かなかったのを覚えています。個体差もあるでしょう。もちろん鮮度が大事なので、夏場はすぐに内臓を取り除くなどの処理が大切です。
クロメジナのほうは、沖合の外洋を好むため、メジナみたいになんでも食べているというわけではなく、磯臭さが少ないです。
冬は海藻しか食べなくなる
産卵後は何でも食べるので、梅雨の時期などはメジナの釣りシーズンでもあり「梅雨メジナ」という言葉もあるわけですが、メジナの旬は冬です。
なぜ冬が旬なのかと言えば、メジナは冬になると主に海藻しか食べなくなるという習性があります。そのため冬は磯臭さが無くなると言われています。
メジナの味わい・食味
メジナの身は白身で、淡白な味わいです。
前述した通りですが、時期によっては脂が良い感じでのっており、マダイのようなコリコリとした食感を感じることができます。
マダイそっくりの身をしています。少しだけメジナのほうが白濁している印象です。
活け締めされたメジナはコリコリとした食感がとても美味しいです。
メジナの旬
メジナの旬は冬とされています。
11月~2月頃のメジナは、寒メジナ・寒グレとも呼ばれ、その味は「タイにも勝る」とまで言われるくらい美味しいです。
夏は体に栄養が無くなっており、雑食性も強くなってしまうので磯臭くなりがちですが、冬は雑食性が少なくなり、主に海藻しか食べなくなるため磯臭さが無くなります。さらには脂肪も蓄えるため、脂ののりが非常に良くなります。
メジナの食べ方・おすすめの調理法
メジナはほどよく脂があり、淡泊な白身のため、さまざまな料理に適しています。
鮮度が良ければ刺身・寿司がおすすめ
鮮度が良くて、素早く下処理をしていれば夏でもお刺身がおすすめです!
冬は特に脂がのり、タイよりも美味しいと言われることもあるので、食べたことが無い人は一度味わってみてください。
皮目は炙って焼き霜造り、熱湯での湯霜造りにすることで、皮のコリコリとした食感を楽しむことができるのでおすすめです。(ただ、皮が黒いので見た目的な鮮やかさは欠けます、、)
冬は血合いが少なくなり、皮を剥いだ切り身の見た目はタイのように綺麗ですし、脂がのっていて味わい深くもあるけど後味はくどくないといった感じで寿司飯との相性が良く、お寿司に向いていると言われます。
夏は下処理が遅くなると内臓からどんどん臭くなってしまうことがあるので注意が必要です。
もし、少し磯臭さを感じたら、醤油ではなくて、甘辛いタレやおろしにんにくなどと絡めた食べ方にすると臭みを感じにくく美味しく食べることができます。
白身魚なので昆布締めにしてもいいですね!
冬が旬だからこそ、しゃぶしゃぶや鍋で食べたい
メジナは冬が旬です。だからこそ、冬であれば鍋やしゃぶしゃぶで食べたいものです。
鍋の種類は白身魚に合う鍋であれば何でも構いません。
シンプルに「ちり鍋」や、「グレしゃぶ」なんかがおすすめです。しゃぶしゃぶにするときは皮を残して切り、出し汁にくぐらせる時に皮の部分に熱を通します。湯霜づくりの要領ですね。
全体の表面が少し白くなるくらいで、中まで熱を通さないくらいしゃぶしゃぶしたらポン酢などでいただきます。
ポワレやムニエルが人気
メジナは皮目がしっかりしているので、皮を焼き上げるポワレやムニエルが人気です。小麦粉をまぶして、太白ごま油やバターなどでシンプルに焼き上げるだけで美味しいですよ!
皮目はパリッと焼き上げましょう。
煮付けは臭みを軽減させるからメジナに最適
脂があるからこそ煮付けが美味しいですよね。
もし、ちょっと磯臭さが気になるといった場合は、いっそのこと丸ごと煮付けにしてしまってもいいかもしれません。
特に頭の部分やアラなどを食べる場合は、煮付けがおすすめです。
その場合は、熱湯で霜降り処理をしたり、生姜を加えるなど臭みの対策をして煮付けます。
煮付けは磯臭さを軽減させやすい調理方法なので夏のメジナにもおすすめです。
絶品!メジナの白子を食べよう!
メジナの白子は絶品です。白子が詰まっていたら必ず食べましょう。
食べ方はさまざまで湯引きして白子ポン酢で食べたり、定番の天ぷらにしたり、ソテーにしたり、オーブンで焼いたり、塩麹焼きにしたりと何にしても美味しいです。
タラの白子にも負けない美味しさがあります。
塩焼きや塩釜も!
たくさん釣れた時や、お刺身以外で食べたい時などは豪快にまるまると塩焼きなんてのもどうでしょうか。大きさによっては家庭用のグリルだと難しいので、オーブンで焼くか、外で七輪で焼くなどもいいですね!下処理はちゃんとしておきましょう。
唐揚げやフライも!
白身魚なのでやはり唐揚げやフライも美味しくておすすめです。
目利き・選び方のポイント
それではメジナの選び方について見ていきましょう。
基本的なこととして、目が澄んでいて張りがふっくらとしているもの、エラが鮮やかな赤色のものを選びます。ただ、メジナはエラ蓋の前にある前鰓蓋骨部分がカミソリのようにするどいので、怪我をしないように気をつけましょう。
体表については乾いておらず、表面にツヤや光沢、ぬめりがあり、色が綺麗に見えるものを選ぶといいです。
大きさによりますが、刺身を作る場合は、活け締めされているかどうかも見てみましょう。
お腹の硬さなどもポイントで、お腹の部分を少し指で押してみて硬いかどうかも見てみると良いです。
メジナの釣り方・漁法
一般的なメジナの釣り方は磯釣りになります。堤防からも釣ることもできます。
5mほどの磯竿でフカセ釣りになります。
一年中狙える魚ではありますが、時期によって釣りのパターンがかわります。
メジナは潮通しが良いところを好むので、流れを見極めることが重要です。特にクロメジナなどは沖合のほうにいることもあり、潮の流れを考えたエサの撒き方が大切になります。
商業的なメジナの漁獲は主に定置網になります。海が荒れるとよく獲れると言われ、荒天になると入荷量が多くなると言われています。
メジナ(目近魚、眼仁奈、目品)の名前・漢字の由来
メジナの名前の由来は、そのまんまで目の位置が口・吻に近いところから来ていると言われています。
- 豆知識!
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マグロの幼魚である「メジマグロ」も同じ意味で「メジ」と付いていると言われています。
主な漢字は「目(眼)近魚」、「眼仁奈」、「目品」とされます。
ただ、あまり漢字を使うことは無いですね。というのもメジナは地方によって呼び名が異なり、関東では主にメジナ、関西ではグレ、九州方面ではクロと呼ばれます。
関東でもグレと呼ばれることも多いです。