カサゴってどんな魚?特徴は?

カサゴは浅場の岩礁域に生息するお魚で、穴釣りなどで初心者でも簡単に釣れるお魚です。
食欲旺盛で大きな口で獲物を食べるカサゴ
頭部と口が大きく、目の前にエサがあると見境なしに飛びついて食いついてきます。

背ビレのトゲが鋭く軽い毒があるため、刺さると少し痛みが(1〜2時間ほど)続きます。
そこまで強い毒ではないためあまり心配はありませんが、近しい種には強力な毒を持っているものもいるため、「カサゴのような魚は背ビレに注意」と認識しておきましょう。
(カサゴに限らずどの魚も背ビレは危ないですが、、)
さらにはエラ蓋の縁にも鋭いトゲがあるのでエラ蓋にも注意が必要です。

カサゴの見た目の特徴として全身の模様があります。
特に、背ビレの基部に交互にある暗色斑と白っぽい淡色斑と、身体全体にまだら模様に入っている白っぽい斑紋が特徴的です。
体色は赤系や茶系、黒系など、住んでいる場所によって様々で個体差が大きいです。
浅い場所にいるカサゴは黒っぽく、深い場所にいるカサゴは赤っぽいことが多いと言われています。

カサゴのサイズは標準で20cm〜25cmほどです。
最大で35cm近くに成長するとされていますが、多くは20cm前後ほどのサイズになります。
カサゴの生態
カサゴは、日本の北海道南部から朝鮮半島、中国、台湾、フィリピンまでの西部太平洋の海域に広く分布しています。

カサゴは種類によって生息水深が異なりますが、本種は沿岸の水深30メートル以浅ほどの岩礁域に生息しています。浅い海域のカサゴほど美味しいと言われたりします。
夜行性で肉食
根魚であるため常に単独行動であり、夜間のほうが活発的に行動を行います。
肉食性で、主な餌はゴカイ、甲殻類や、自分より小さな小魚などを大きな口で捕食します。
産卵期は冬。仔魚を産む胎生魚

カサゴは2歳で成熟します。
産卵期は地域によって異なりますが、大体は晩秋ほどに交尾を行い、冬に出産を行います。
カサゴは仔魚(孵化時にヒレや骨格ができあがっている状態)を産む、胎生魚(お腹の中である程度育ててから出産する)だよ。硬骨魚類では珍しい出産方法だね。
カサゴの種類
カサゴ類はいろんな種類がいますが、見た目も似ているため、地方によっていろんな呼び方があったり、逆にどれも「カサゴ」と言われたりします。
(参考:カサゴ・笠子の魚名方言(地方名) ガシラ、アラカブ、ホゴ、ハチメ他)
よく似ていると言われるのはウッカリカサゴ

名前のまんまですが、「ウッカリするとカサゴと間違える」と言われるため、ウッカリカサゴと言います。カサゴより大きく成長し、大きくなるとすこし身が固くなるため、食味としての評価はカサゴより低いです。
カサゴとウッカリカサゴの見分け方
見分け方は難しいように思いますが、ウッカリカサゴは、暗色に縁取られた細かい白色斑紋があるのが特徴です。
カサゴの斑紋は縁取られておらず、ウッカリカサゴのように細かくないため見分けるポイントになります。

他にも胸ビレの軟条数で見分けが付きます。
深海に住むカサゴもいる
カサゴは浅場が多いですが、深海付近に生息するカサゴもいます。
以下はユメカサゴというカサゴで、水深400〜500mほどの深海に主に生息しています。駿河湾や底引き網漁でよく見られますね。

強い毒があって危険なカサゴ達
それでは強力な毒を持っているカサゴを見ていきましょう。
幸い見分けるのは簡単ですが、カサゴと呼ばれるお魚達には強い毒がある種がいます。以下、代表的な種を紹介します。
イズカサゴ

通称オニカサゴと言われるカサゴです。
正式な和名はイズカサゴです。(オニカサゴという正式和名の魚は別にいます)
船釣りで人気のお魚で、とても美味しいのですが、昔の伊豆の漁師は「毒トゲが厄介だ」ということで捨てていたというびっくりな過去を持つ魚です。
背ビレ、腹ビレ、尻ビレどれも危険です。
ミノカサゴ

優雅な姿であることから観賞用として人気のミノカサゴです。味も美味しいです。
このカサゴもヒレにとても強力な毒があるので注意が必要です。
あまりにも生存・繁殖能力が高いことから、海外だと駆除対象にもなってしまっているカサゴです。
「美しいものには棘がある」というコトワザみたいなお魚ですね。
カサゴは基本どの種でもトゲが危険です。
似た種でも危険な魚はいっぱい
カサゴ亜目で、ハオコゼやオニオコゼなども強力な毒を持っていて危険です。
ハオコゼなんかは釣りの外道として有名で、小さいので軽はずみに素手で触ろうとすると、毒棘が刺さる危険性があるやっかいなお魚です。

カサゴの旬
カサゴの旬は、冬から春にかけて、特に12月から2月の産卵期の時期が旬とされています。
産卵期の時には栄養を蓄えるためにたくさんエサを食べるため脂がのり、冬なので身が引き締まります。
カサゴの旬は冬だけど通年美味しい
冬が旬とされているカサゴですが、通年美味しいです。
浅場に住んでいるカサゴは、エサをたくさん食べますし身が締まっていていつでも美味しいです。
食べ方・おすすめの調理法
カサゴと言えばやはり思いつくのが、煮付けや唐揚げではないでしょうか?
冬場のカサゴの煮付けは最高!

カサゴと言えば煮付け!と思いつくほど、煮付けが美味しい魚です。
身に弾力がありつつ柔らかく旨味があります。甘辛く煮付けたカサゴの煮付けはご飯が止まらなくなる美味しさです!
たくさん釣れたら鍋物にするのも良いですね。
身が少ないからこそ唐揚げ・骨せんべいは外せない!

カサゴは頭でっかちで、可食部である身が少ないのが特徴です。
そのため20cm以下の小ぶりなカサゴは頭から全部揚げる姿揚げがおすすめです!
そのまま塩で食べても良いですし、甘酢あんなどをかけて食べてもいいですね。
小ぶりなカサゴはバリバリボリボリと毒ヒレまでも食べるのが粋な食べ方です!(ヒレの毒素はタンパク毒素なので加熱すれば無毒になり大丈夫です。)

煮付けの残りの骨も汁気を切って揚げて食べちゃいましょう!
(大きいカサゴだと揚げても硬くて自分の歯が危なくなるので注意です)
近年では刺身がメジャー!
昔は少ない身を切り取って食べるが面倒ということから、カサゴの食べ方は煮付けがメインでしたが、カサゴも数が減ってきたということもあり昔より貴重で高級になりました。
そのためやはり「貴重な身は刺身で食べたい!」というのが今のカサゴのメインの食べ方になってきています。

小さいサイズは捌くの失敗すると身がほんのちょっとしか残りませんが、そんな身を味わうのも楽しみの一つですよね。
少ない身でも、姿造りとかにすれば見た目も豪華で美味しさ倍増です!
身はその日に食べなくても数日寝かせて熟成させても美味しいです!
カサゴの身は上品な甘みがあり弾力があります。ゼラチン質なため美容にも良いですよ!
塩焼きも外せない食べ方
煮付け、唐揚げ、刺身と来たら塩焼きです!

塩焼きで残った骨も捨てずにお湯をかけて「骨湯」にしたり、塩だけで煮付けて潮汁にしたりするのも通な楽しみ方です。
カサゴの釣り方・漁法
カサゴ釣りは初心者にもおすすめのブラクリでの穴釣りなどが簡単です。

他にもジグヘッドリグやテキサスリグを使ったルアー釣りや、胴突き仕掛けを用いた船釣りなどが主流です。タックルは小型スピニングリールと2m前後のサオ、胴付き2本バリ仕掛けやブラクリ仕掛けがよく使われます。
エサにはイソメなどを千切って使用したり、サバの切り身やイカの塩辛も用いられます。

カサゴは夜間に活発的に行動するため夜に狙うと良いです。
ただ夜のテトラ帯は危険なのでなるべく安全に狙える場所で行うのが良いですね。
資源管理のためのカサゴの栽培漁業
カサゴは回遊をしない地先種の根魚です。
そのため一箇所で小さいカサゴまで釣り上げていたらその場所から居なくなってしまいます。
これまで数を減らしてきたカサゴですが、現在はカサゴの栽培漁業が行われていて稚魚が放流されているようです。

生け簀で8cmほどまで中間育成を行い、稚魚を放流箇所まで慎重に輸送して海底付近に放流を行います。
カサゴがいなくなってしまったら釣りも料理も楽しめず元も子もないので、カサゴの栽培漁業は応援したいですね。
みんなで大切な海の資源を守っていきたいですね。
(参考:カサゴの栽培漁業はどうやっている?どこに放流している?)
カサゴ(笠子)・ガシラの名前・漢字の由来
カサゴの名前は、大きな頭が笠をかぶったように見えることから「笠子」と呼ばれたことが由来だと言われています。

また、体のまだら模様が瘡蓋に似ているため「瘡魚(カサゴ)」とも言われているようです。