コノシロってどんな魚?コハダと違うの?
まずはじめに、この話をしないといけないと思います。
「コノシロとコハダって何が違うんだろう?」と疑問に思ったことがある人は多いのではないでしょうか。
コノシロに限った話ではないですが、魚って呼び方にさまざまなパターンがあります。
標準和名、通称、地域名、成長段階での呼び分け、生息場所での呼び分け、釣り人による呼び方などです。
特に地域名は多岐にわたり、他の種と混同したりもして何がなんだか分からなくなったりしますよね。
多くの人は通称は知っていても正式な名称は知らないという人も多いと思います。
コノシロもそんな魚のひとつだと感じます。
お寿司屋さんなどで「コハダ」というのは聞いたことがあるけど、「コノシロって何?」と思う人も多いのではないでしょうか。
コノシロとコハダは同じ魚
結論から言うとコノシロとコハダは同じ魚です。
正式な標準和名ではコハダのことを「コノシロ」と言います。
では、なぜコノシロのことをコハダと呼ぶのかと言うと、コノシロは成長によって名前が変わる出世魚だからです。
コノシロは出世魚
出世魚と聞くと、ブリやスズキのような大きいお魚を想像するかもしれませんが、コノシロも出世魚です。
というのも皆さんが良く目にしているのは「コハダ」なんです。何がなんだかわかりませんね笑
以下を見てみてください。
地域や個人での認識差がありますが、主にコノシロはサイズによって以下のように呼び分けられています。
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シンコ(新子)
幼魚(10cm程度まで)
約10cm以内で5cmほどのコノシロを「シンコ」と呼ぶ。寿司が美味しい。 -
コハダ(小肌・小鰭)
若魚(10〜15cm程度)
約10〜15cmほどのものをコハダと呼ぶ。人や地域によっては、7〜10cmをコハダ、12、13cmほどをナカズミと呼んだりもする。 -
コノシロ(子の代)
成魚(15〜30㎝ほど)
大きめの20cmほどのサイズをコノシロと呼ぶ。
このようにコノシロは成長サイズによって、シンコ→コハダ→コノシロと呼び分けられています。
コハダの時期が一番美味しくて値段も高い
お魚って大きければ良いというものではありません。
多くのお魚が成魚よりもその前の段階が一番需要が高いということもあります。コノシロもそんな魚の一つです。
全長12cmほどのサイズが一番値段が高く、成長していくとどんどん値段が下がっていってしまうのがコノシロです。。
というのもコノシロは大きくなると脂も多くなるのですが、小骨が多いため、どうしても小骨が気になるようになり、皮も硬くなって水っぽさや特有のクセも目立ってきます。そのため調理が難しいというのが大きな理由です。旨味は濃厚なため美味しくないわけではないのですが、足が速い(痛むのが早い)ため、扱い方も難しいんですね。
そのためどうしても「酢漬け・酢締めにする」というのがメジャーな調理方法になりがちです。
コハダの段階でも調理が難しいのに、さらに調理が難しくなるコノシロは消費者からあまり求められません。大きくなるのも少し考えものですね。。
コノシロ(コハダ)の特徴
それではコノシロ(コハダ)の見た目の特徴について見ていきましょう。
コノシロは最大で25〜30cmほどまでに成長します。
ただ、前述した通り流通するサイズの多くはコハダサイズです。
体型は木の葉のように左右に平たく(側扁)、イワシのように剥がれやすい鱗が付いています。
エラ蓋の後ろに1箇所大きめな黒色斑があるのが特徴です。
背ビレの後端は糸状に長く伸びます。
コハダのお寿司でもおなじみの小黒斑の綺麗な模様が背中に散りばめられています。
この模様だけで「コハダ(コノシロ)だ」とみんなが分かるくらい特徴的な斑点です。
後述しますが、寿司屋の腕前を見極めるためにまずはコハダを食えと言われます。
コノシロ(コハダ)の生態
それではコノシロはどんなお魚なのかについて見ていきましょう!
コノシロは日本各地(新潟以南)の内湾の浅場(水深15mほど)、汽水域(河口付近)、泥底に群れで生息しています。主には温かい地域を好むお魚です。
沿岸性が強く、夏は湾外の沿岸域にいることが多いですが、秋から春には内湾にも多くいます。
食性としては雑食性で、植物プランクトンやデトリタス(微生物の死骸などの有機物粒子)、珪藻類、甲殻類、その他小動物を食べています。汽水性で雑食性なのが特有のクセの原因でもあります。
コノシロの産卵期
コノシロの産卵期は地域により異なりますが、主に春から初夏の時期とされています。
産卵期には汽水域にも入ってきます。
コノシロ(コハダ)とサッパ(ママカリ)の違い
コノシロと似ている魚と言うと、堤防釣りでよく釣れる人気の「サッパ」です。
どちらも同じニシン科のお魚ですが、サイズも味わいも少し異なります。
サッパはコノシロほど大きくはならず、体型がかなり薄いため、笹の葉みたいだから「サッパ」と呼ばれるお魚です。
コノシロ(コハダ)とサッパの見分け方
非常に似ているのですが以下の特徴で見分けることができます。
主な見分け方は、体に小黒点があるかどうかです。
それとエラ蓋後方の黒斑も分かりやすいポイントです。
コノシロ(コハダ)はエラ蓋から少し後ろに離れた位置に目立つ大きめの黒斑があります。
サッパは、エラ蓋端の上部が黒くなっていたりしますが、エラ蓋の後ろにコノシロのような目立つ黒斑はありません。
コノシロ(コハダ)の旬
コノシロ(コハダ)の旬は、11月の秋から2月の冬の時期までが旬の時期になります。
冬が旬のため、漢字では鮗と魚辺に冬と書いたりします。
産卵から回復してきた冬の時期になると脂が乗ってきて味が良くなります。
冬が旬のため「コハダの粟漬け」といったおせち料理にも使われます。
コノシロ(コハダ)の食べ方・おすすめの調理方法
コノシロ(コハダ)は、特有のクセがあり、さらには小骨が多いという特徴があります。
これらの特徴があるため、コノシロ(コハダ)は酢締め・酢漬けにするのがおすすめの調理方法です。
酢漬けで小骨を柔らかく!「コノシロ(コハダ)の酢締め」
コノシロ(コハダ)を酢漬けにすることにより小骨を柔らかくすることができます。
さらに特有の臭みも軽減することができ、お寿司などにピッタリになることから、酢漬けはコノシロ(コハダ)のスタンダードな食べ方となります。
寿司屋の腕前はコハダで判る?寿司のためにある魚
コハダは調理方法が難しい魚と言いましたが、難しいからこそ寿司屋では腕前が判る魚と言われています。
そのため寿司業界では、そのお店の味付けや腕前を測るために「まずはコハダを頼め」という言葉があるくらいです。
さらにお酢の酸味には食欲増進作用や、唾液、胃液の分泌を促す効果があるため、まずはコハダを頼むというのは理にかなっています。
塩の塩梅、〆る時間、魚の状態などを見極める
一言でコハダの酢締めと言っても、コハダの脂のノリ、時期、サイズ、塩の塩梅、〆る時間、寝かせる時間などなど、考慮しなければいけないことが多岐にわたります。
コハダは身が薄いため塩加減が難しい魚です。さらには鮮度も落ちやすいです。
酢で〆ることで酢飯との相性がバツグンになる!
コノシロ(コハダ)というだけでは他のお魚に食味で劣りがちなところがありますが、寿司ともなるとマグロを凌ぐほどの人気になるのがコハダの特徴です。
塩・酢、酢飯と合わせることにより格別に美味しくなります!
シンコサイズともなると更に手間がかかります。
しかし、手間暇がかかり、さらには寿司屋の腕の見せどころであるため、コハダ・シンコの握りは「江戸前寿司の華」、「寿司の真打」と言われています。
(参考:江戸前鮨の名店に訊いた、“鮨のための魚”コハダの奥深さ|Pen Online)
回転寿司のコハダは美味しい
難しい印象があるコハダの握りですが、回転寿司のコハダは美味しいというのが業界内の話です。
コハダの握りはプロの寿司屋で食べる以外だと、回転寿司などになるかと思います。
プロの寿司はやはりお店によって千差万別です。
しかし回転寿司のコハダというのは、締め方や味の塩梅が一般基準で研究されていて、それら加工されたものが真空パック詰めされて同じ品質になるように全国に出回っています。
つまりハズレが無いとされています。一般のお寿司屋さんだとどうしても量を捌き切れなかったり、状態管理が難しかったりするので来店したタイミングでは一番良いものを食べられなかったりします。
そのため人によっては回転寿司のコハダが一番美味いとまで言う人もいます。
さまざまな酢漬けの料理に!
寿司以外にも酢漬けの料理にコハダはぴったりです。
お正月にも!「コハダの紅白なます」
コノシロは出世魚であるため、縁起物にもぴったりの魚です。(大きくなるにつれ価値が下がる魚ですが、、)そのため、大根、人参を使ったなますにコノシロをプラスさせてみましょう!
ピクルスなどの洋風な酢漬けにも!
酢というのは、同じ酢の物との相性が良いです。
そのため、野菜のピクルスなどにコハダの酢漬けを合わせた食べ方もおすすめの食べ方です!
自家製ピクルスなどを作って、それとコハダの酢漬けを合わせてみるロールポップスなどの食べ方もツウな食べ方ですね!
コノシロサイズは塩焼きや煮付けもおすすめ!
なんか酢漬けしか調理方法が無いイメージがあるコノシロ(コハダ)ですが、普通に塩焼きや煮付けも美味しいです。
やはり骨が気になることがあるので、お店ではあまり出されることがありませんが、個人的にコノシロ(コハダ)を手に入れたのであれば、塩焼きや煮付けにチャレンジしてみましょう!
脂は多いので美味しいです。
コノシロ(コハダ)の目利き・選び方
コノシロは鮮度が重要です。
鮮度自体を見極めるのは簡単で、鱗がちゃんと綺麗に付いていて身が硬く締まっており、目が黒ぐろとしてツヤ張りがあるものを選びましょう。
鮮度が落ちてきたコノシロ(コハダ)は鱗がほとんど無くなってしまっていたり、身が柔らかくなって目がしぼんでいたりします。
脂ののりについては、全体的に丸みがあり、体高が高くなっているものがおすすめです。
寿司や刺身にはシンコ・コハダサイズ
前述したとおり、小骨があるので、寿司や刺身にするといった場合はシンコやコハダなどの小型のサイズを選ぶようにしましょう。
煮付けや塩焼きにするといった場合はコノシロサイズが良いと言えます。
コノシロ(コハダ)の釣り方・漁法
サッパと同様にサビキ釣りが一般的な釣り方になります。
堤防はもちろん、汽水域でも釣れるため、河口なども狙い目のポイントです。
群れをなしているため、一匹釣れるとまとめて釣れることが多いです。
あまりたくさん釣れても調理・加工が大変なので少し考えものです。
コノシロ(コハダ)は韓国では秋の味覚
日本で秋の魚と言えばサンマが目立ちますが、お隣韓国だと秋の味覚といえば「コノシロ(コハダ)」です。
韓国では「전어/ジョノ」と呼びます。
韓国の場合、コノシロ(コハダ)は骨ごとぶつ切りにして刺身としていただきます。
他には塩焼きなどになります。