キンメダイの特徴
真っ赤な体と、金色に光る大きな目が特徴的な魚です。
深海に生息する高級魚です。
真っ赤な体をしていますが、生きている時は真っ赤ではなく、ピンク色のような色をしています。
水揚げ時は、お腹側が銀色をしていることから、ギンダイとも言われたりします。
伊豆諸島付近で盛んに釣られることで有名です。
キンメダイの目はなぜ光って見える?猫と同じ?
キンメダイの目が金色に光って見える原理としては、網膜の外側にある「タペータム」と言う反射層が、光を集めることで光って見えます。
深海はとても暗いため、少しの光でも集めて周囲が見えるようにするため、このような目をしています。夜行性の哺乳類などの動物と同じような目の構造になります。
猫とか夜行性の動物の目と同じだよ。夜行性の動物って夜とか暗いところだと目が光って見えるよね。それと同じ原理でキンメダイの目も光って見えるよ。
学名や英名にある「splendid、splendens」という単語も「輝いている」という意味があります。
深海でも多くの光を集めるために目が大きくなった
キンメダイは、光が少ない深海で、できるだけ多くの光を集めるために目が大きく進化したと考えられています。その逆で目が退化する深海魚もいます。
キンメダイ(金目鯛)の名前・漢字の由来
名前のとおり目が金色に見えることから金目鯛と言います。
キンメダイはタイの仲間じゃない!?
名前にタイが付いているキンメダイですが、実はタイの仲間ではありません。
姿はタイに似ていることからキンメダイと言いますが、キンメダイはキンメダイ目キンメダイ科というタイなとは全く別の魚の種類になります。
キンメダイって名前だからタイの仲間なのかと思っていたけど違うんだね!
生態・漁法
キンメダイは、北海道釧路以南の太平洋に主に生息しています。
生息域は広く、太平洋、インド洋、大西洋、地中海など、世界中の深海に分布しています。
世界中の海で獲れるため、海外からのキンメダイの輸入品も多くあります。
キンメダイの成魚は、日中は水深100m以上の海底近くに群れで生息していることが多いです。
夜になるとエサを求めて浮上してきます。月夜の明かりを頼りにエサを食べるため、月がよく出ている日にはキンメダイがよく上がってくると言われています。
肉食性で小魚、甲殻類、イカ類などを食べています。
漁法としては海域によって異なりますが、一本釣りから大型船での底たて延縄漁などで漁獲されます。
キンメダイの成長
キンメダイは生まれた時からキンメダイですが、幼魚のときは背ビレが糸状に伸びていることから幼魚のときはイトヒキキンメと呼ばれたりします。
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稚魚6cmほど:イトヒキキンメ
キンメダイの稚魚・幼魚は、背ビレの一条が糸のように長く伸びていることから「イトヒキキンメ」と呼ばれます。
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成魚:キンメダイ
成長するにつれ糸状に伸びた背ビレは消失します。
大きいものだと全長50cm以上になります。大きいほど脂の割合も多くなり旨味があります。
キンメダイの旬
キンメダイは通年を通して味が安定していますが、主な旬は、一番脂が乗る12〜2月あたりの冬の時期になります。
一番脂が乗るのは冬ですが、キンメダイの産卵期は夏(地域により異なる)のため、産卵前の5、6月が旬であるとも言われています。
味わい・食味
キンメダイは深海魚の中でも脂がとても多いのが特徴です。
ピンク色に透き通った身は、ふんわりと柔らかく、骨との身離れもいいです。
キンメダイの皮はそこまで硬くなく食感も美味しいです。鮮やかな赤色が綺麗なため、皮ごと調理されることが多いです。
昔は脂の多さが嫌がられていた!?
キンメダイに限らないですが、昔の人には脂っこい魚は不人気でした。
また、脂や水分量が多い魚は痛むのも早く、まだ流通の仕組みが発展していない時代では美味しい状態で流通させるのが難しかったとも言えます。
そのため、キンメダイは主に産地周辺のみで流通し、煮付けや干物などで食べられることが多かったそうです。
流通の進歩により、刺身が広く食べられるようになって、生魚の脂の美味しさが世間に浸透すると、キンメダイの人気に一気に火がつきます。現在では味良し見栄え良しとのことで、あらゆる料理に使われます。
さらに、キンメダイは世界中で漁獲されることからフレンチやイタリアンでも人気の食材となっています。
昔は不人気な魚だったんだね..
今では洋食料理とかでもたくさん使われるよね!
目利き・選び方のポイント
キンメダイの目利き・選び方のポイントとして以下のようなポイントがあります。
- 目が透き通った金色で張りがあり、盛り上がっているもの
- 肩の部分の身が厚くお腹が張っていて硬いもの
- ウロコがしっかりと付いていて輝いているもの
- 切り身の場合は、身に透明感があって白濁としていないもの
市場流通
キンメダイは深海魚を代表する高級魚です。
世界中で漁獲されますが、日本近海で獲れて流通する鮮魚は高級魚として扱われます。
キンメダイは産地や漁獲方法で味や値段が大きく変わる
深海の高級魚として流通するキンメダイですが、分布域は広く、産地によって味も価格も大きく変わってきます。
世界中から冷凍のキンメダイが輸入されている
キンメダイは世界中に分布しているため、アメリカ、ニュージランド、チリなどの海外からの輸入も盛んです。
海外産のキンメダイは、冷凍された状態で流通します。
それらがスーパーなどで切り身として店頭に並んでいます。
地キンメ、島キンメ、沖キンメ、つりきんめ
キンメダイの名産地の伊豆半島では、どこで漁獲されたかによって種類が3種に分けられます。
それが地キンメ、島キンメ、沖キンメというものです。
地キンメとは
地キンメとは、地金目鯛のことで、伊豆諸島の新島・大島や神津島より本州よりの海域で、漁師が日帰り一本釣りで釣り上げてくるキンメダイのことを言います。
日帰りで帰ってくるため「日戻りキンメ」、産地の名前で稲取キンメ(東伊豆町稲取)とも言われます。
一本釣りで漁獲されるため、魚へのダメージも少なく、状態も良いです。
地キンメは、沖を回遊するものと違い、エサが豊富な海域に居座っているため、脂の乗りが良く、キンメダイの中でも最高級のものとされています。
価格も高騰しており、一般の小売には流通せず、一部の高級な料亭・旅館、お寿司屋さんのみに卸されている特別な魚です。
島キンメとは
島キンメとは、神津島や八丈島周辺の海域で獲れるキンメダイのことを言います。
沖から流れてくるものもいるため、地キンメよりは脂の乗りが控えめなものが多いと言われています。
また、地キンメは日帰りで漁港に帰りますが、島キンメの場合は漁港に帰ってくるまで2、3日かかります。そのため価格も地キンメよりワンランク下がります。
沖キンメとは
沖キンメとは、八丈島より太平洋沖側の海域を回遊しているキンメダイのことを言います。
伊豆諸島沿岸よりもエサが少ない海域を回遊しているため、地キンメや島キンメよりは脂の乗りが控えめです。また、沖キンメは大型船での漁獲になり、漁港に帰ってくるまでに10日ほどかかります。そのため価格も地キンメや島キンメよりも安くなります