ホタテガイとはどんな貝?
ホタテガイとは、貝類の中でも最も人気があり、広く親しまれている貝です。
二枚貝で、口がパカッと開いた時に片方の殻が立った姿が、船の帆が風を受けて膨らんだ時の様子に似ていることから「帆立」と呼ばれるようになりました。
高タンパクで低脂質!アミノ酸スコア100の究極食材
ホタテは30g(1個あたり)のカロリーは「25kcal」タンパク質は「5.07g」脂質は「0.09g」炭水化物は「1.05g」と、高タンパク・低脂質・低糖質の食材です。
さらにアミノ酸スコアは100というスコアです。
アミノ酸スコアというのは必須アミノ酸をバランス良く含んでいるかどうかのスコアですね。
主には、脂身が無い食肉、卵、牛乳、豆腐、納豆、魚であればアジやイワシ、カツオ、サケ、ブリなどがあります。良質なタンパク質ということです。
高含有量の甘み・うま味成分
貝のうま味には「コハク酸」という強力なうま味成分があります。
他のアミノ酸などと比べると含有量自体は少なくても、うま味としては強力で、主にはアサリ、シジミ、ハマグリなどに多く含まれます。
それらの貝と比べるとホタテはコハク酸の含有量は少ないですが、その他の甘みやうま味成分であるアミノ酸の含有量が多いのが特徴です。
タウリンの含有量も多いので、お酒の席などにもおすすめの貝です。ただタウリンは水溶性で流出しやすいので、タウリン目的ならお刺身や汁物が良いかもしれません。
加熱により遊離アミノ酸が増えて美味しくなる
基本的に食材というのは、加熱することによりタンパク質が分解されて遊離アミノ酸が増加します。
遊離アミノ酸の量によって美味しさに影響を与える甘みやうま味が増加します。
ホタテは加熱により、うま味のグルタミン酸や甘みのグリシンやプロリンが著しく増加します。
昔は超高級貝だったホタテ
ホタテガイというのは、今では養殖が基本ですが、昔は漁獲が主だったので超高級貝であったと言われています。ちなみに天然も養殖も味に違いは無いと言われています。
養殖ホタテと天然ホタテの見分け方
ホタテは養殖か天然かで、貝殻の見た目は少し異なります。
養殖ものは海中に吊り下げられて育てられるのに対し、天然は海底を動き回っているため、貝殻の付着物や色が異なります。
養殖ものは表面にたくさん付着物や藻がついていて茶色っぽく、蝶番のところには養殖のヒモがついていたりします。
天然ものは少し深めの海底に生息しており、動き回っているため、殻が擦れて付着物が取れるため白っぽい貝殻をしています。
国内自給率はほぼ100%、日本の漁業者の生活を支える救世主
ホタテガイというのは、養殖で安定的に生産することができ、需要も高いため、多くの漁業者の生活の基盤となっています。漁業というのはどうしても自然相手なため、収入が安定しづらい側面がありますが、そんな漁業者の救世主となっているのがホタテの養殖です。
日本は多くの海産物を海外から輸入していますが、ホタテに関してはなんと国内自給率が100%です。
それどころか日本のホタテは海外でとても人気があるため、多くが輸出されており、輸出品目ランキングでも1位になるなど、日本の重要輸出水産物です。
そのためホタテの養殖業者は「ホタテ長者」とも言われ、そんな方が建てた豪邸は「ホタテ御殿」とまで言われ、一帯地域は「日本一の金持ち村」とまで言われることもあります笑
ホタテガイの生態
ホタテガイは、基本的には海底の砂泥地に生息している貝です。
通常時は海底に埋まるようにしており、時々殻を開いて海水を吸い込み、プランクトンや有機物をエラで濾し取って食べています。殻の開閉の推進力で海底を泳ぎます。
ホタテガイの産卵期
ホタテガイの産卵期は地域差がありますが、一般的に春(2〜4月)が産卵期とされています。
冬の寒さから少し水温があがってきて6〜10℃くらいになると、メスが海中に卵を産卵し、そこにオスが精子を振りかけることで受精卵となります。その後卵は海中を漂いながら孵化して幼生となり、海中の何かに付着して成長を続け、次第に海底へと移っていきます。
ホタテのオス・メスの見分け方
ホタテを開いた時に、なんか赤・オレンジっぽいものがあるホタテと、白黄色っぽいものがあるホタテを見たことありませんか?この部分は生殖巣と言って、オスとメスで色が異なります。
赤・オレンジ色はメスの卵巣にあたり、カロテノイドという成分で赤っぽくなっています。
白黄色はオスの精巣にあたります。
ただし、産卵時期以降は上記の見分け方ではよくわかりません。
ちなみにホタテの仲間の多くはオスメスが同じという雄雌同体ですが、日本のホタテはオスとメスが分かれている「雄雌異体」という特殊なホタテです。
ホタテは産まれた時はみんなオスで、後から性転換する
日本のホタテは産まれた1年目まではオスですが、2年目以降には半分ほどがメスに性転換します。
ホタテガイの解剖図
ホタテはポピュラーな貝であるため、誰しも一度はホタテが開いた状態を見たことがあるのではないでしょうか?
しかし「貝柱は食べられるのはわかるけど、他の部分は食べられるの?」と気になったことがあるという人もいるでしょう。そんな人のために簡単にホタテの中身についてみていきましょう!
ホタテガイの中身ですが上記のようになっています。
ちなみにホタテには右左があり、平らなほうを左、膨らんでいる方を右として、膨らんでいる方に中身が残るように開きます。
面白いのが「目」で、外套膜に120個ほどある黒い点はすべてホタテの目だそうです。
ホタテの食べられる部分
正直、全部食べようと思えば食べられます。みんな気にせずにそのまま浜焼きにしてますよね。
しかし食べないほうが良い部分もあります。というかウロなどは美味しくないです。
まず、食べられる部分としては「閉殻筋(貝柱)」「外套膜(ヒモ)」「生殖巣(キモ)」の3つです。
生殖巣が食べられるかどうか分からなかった、という人もいるかもしれませんが、美味しいので是非食べてみてください。
ホタテの食べない部分
ホタテの食べない部分というのは「中腸線(ウロ)」「エラ」「その他」になります。
まず、貝柱の周りにぐるっとヒモとエラがくっついてるわけですが、食べるのはヒモだけなので、エラは取り除きましょう。
貝柱を食べる時も、貝柱にピタッと直腸(うんちが出る前のところ)がくっついているのでそれも取れば仕事ができる男だと評価されます。
よく議論されるのが「中腸線(ウロ)」です。
ここを食べられるのかどうなのかを考えた人もいるかもしれませんが、ここは食べません。
というのも、ウロは加熱しても食中毒の危険があるからです。
気にせず全部食べるという人もいますが、貝毒というのは麻痺性の毒の場合は死亡例もあることから危険なので食べないようにしましょう。
ホタテガイの旬
ホタテガイの旬は、産地により違いがありますが、一般的には夏(5〜8月)と冬(12〜3月)で2回あると言われています。ただ通年出回っています。
夏(5〜8月)が旬のホタテの特徴
夏のホタテというのは、産卵を終えたホタテが体力を回復させるためにたくさんエサを食べることから貝柱が大きくなり美味しくなる時期です。
冬(12〜3月)が旬のホタテ
冬のホタテは産卵期に備えて栄養を蓄えて生殖巣が発達してくるため、生殖巣が美味しくなると言われています。さらに冬の海水温で身が締まって美味しくなるとも言われています。
ホタテガイの食べ方・おすすめの料理
ホタテガイは焼いても揚げても煮ても蒸しても、洋食でもご飯物でも何にでもできる貝です。
そんなホタテガイのおすすめの料理についてみていきましょう!
新鮮なものなら生でご飯と合わせよう!「ホタテの握り」
やはり活けのホタテを入手したら、お刺身やお寿司で食べたいところ。というのもホタテは入手しやすいですし、冷凍でも多く出回っているため、活けのホタテの場合は生食したいという理由もあります。
新鮮なものは食感がしっかりしているので、隠し包丁を入れたり、少し薄めに切るのが良いです。
北の恵みを豪快!「北海丼」
記事を書いているとお腹がグーグーなります笑
ホタテと合わせてイクラやウニ、エビなど豪快にご飯に乗せた北海丼なんて、まさに至極の一品。
難しいことは考えずにご飯の上に乗せるだけです!
ねっとり濃厚な甘みを堪能!「「ホタテの刺身」」
シンプルにホタテのお刺身というのも最高です!濃厚な甘みとうま味があるホタテだからこその味というものが楽しめます。
ホタテというのは貝特有の臭みというのがあまりありません。
しかし、それでも貝ではあるため、磯の香りや貝特有の風味があり、意外と生のホタテが苦手という人もいます。そんな方は少し工夫して火を通してみましょう!以下は加熱系のおすすめです。
加熱することで甘みもうま味も格段に上がるホタテだからこそ、加熱してこそ真骨頂とも言えます!
やっぱりシンプルに焼きがうまい!「ホタテの浜焼き・バター焼き」
説明不要ですね!夏などバーベキューで食べるという人も多いでしょう!バターや醤油との相性がバツグンです!シンプルに開いて焼くだけです。あまりにも焼きすぎると焦げたり固くなったりしてしまうので火加減が大切ですね!
ホタテは乳製品との相性が良い
バターもそうですが、ホタテというのは乳製品との相性がバツグンに良いように思います。
これはホタテにあまり臭みが無いからですね。他の磯の香りや臭みが強い貝だと乳製品レシピと相性が悪かったりします。
クリーム系がうまい!「ホタテのクリームパスタ」
ホタテの濃厚な甘みとうま味はクリーム系ととても良く合います!そのためクリームパスタとかクリームシチューに入れるのが最高ですね!
ホワイトソースとの相性が最高!「ホタテのマカロニグラタン」
シーフード系のグラタンを作るならホタテは外せません!ホワイトソースとの相性が良く、濃厚こってりな味を堪能できます!
フライがとっても美味しい!「ホタテフライ」
老若男女大好きなのがフライですよね!子どもでも食べやすく美味しいのがホタテフライです。
まさにホタテのうま味爆弾のような料理で、やみつき間違いなしの美味しさです!