TOP / 魚を知る / 軟体類・貝類 / イカ / アオリイカ

アオリイカ 障泥烏賊

釣り人を魅了!もっとも高価で美味なイカの王様

\ | /
お気に入り
アオリイカの特徴
長押しで拡大写真をマウスオーバーで拡大
主な旬
全長
60cm
身質
その他
漁期
春・秋
人気度
人気!
味の評価
極上の美味!!
希少性
少し珍しい
重要度
重要!
旬の時期
食味の良さ
産卵期
漁期
10/22
※各情報は平均的な指標であり、地域や個体によって異なります。
三重県 京都府 徳島県 佐賀県 長崎県 鹿児島県

アオリイカの名産地

多く出荷・流通している産地。または主な漁獲可能な産地。

アオリイカの基本情報
分類
外国名Bigfin Reef Squid
学名Sepioteuthis lessoniana
地域名ミズイカ、モイカ(モンイカ)、バショウイカ
分布と生息域
に分布。
主な生息水深はあたりの
に生息。
漁法
釣り
寿命1年
シェアする

アオリイカ【障泥烏賊】は、釣り人を魅了し続けるイカの中でももっとも高価なイカでイカの王様と呼ばれます。そんなアオリイカの特徴や生態、旬の時期や食べ方・おすすめの料理などをご紹介します!

アオリイカとはどんなイカ?

アオリイカ
アオリイカ

アオリイカは胴長60cmほどにもなる比較的大型サイズのイカです。

特徴的な丸く大きなヒレ

アオリイカの表裏の写真

アオリイカの特徴といえば丸く大きなヒレです。ヒレは胴のほぼ全周についています。
ヒレをヒラヒラさせている姿がとても可愛いイカです。

イカの王様と呼ばれる理由

最も高値で取引されるイカ

アオリイカはその堂々としたサイズ、希少性、そして何より食味が最高に良いことからイカの王様と呼ばれます。
最も大きなものは6kgほどになりますが、基本的には1kgほどが食べやすいと言われます。
大きいアオリイカが美味しくないというわけではなく、身が分厚いので、刺身で食べるには寝かせる必要があったりします。

身は厚めですが、弾力がありながらも柔らかく歯ざわりが良く、噛むごとに強い甘味を感じることができます。

釣り人特権のイカ

釣れたアオリイカの写真
釣れたアオリイカ

他のイカと比べて商業的な漁獲量が少ないのと、沿岸浅場に生息しているため釣りのターゲットとして最適であり、まさに釣り人特権のイカでもあります。アオリイカ狙いのエギング(エギという疑似餌でイカを釣る方法)を専門的に行う釣り人も多いです。

アオリイカは3種類いる

アオリイカと言っても正確には3種類います。

アオリイカの種類

この記事を書いている時点ではまだ和名が決まっていないためこの3種はまだ分類分けはされていませんが、遺伝子的に別種であることが分かっているため、後に別けられることになると思います。
(参考:アオリイカ:水産庁

シロイカ

シロアオリイカ
シロ系のアオリイカ

最もよく見るアオリイカになります。
日本各地に生息しており、最大で50センチ、4キロほどまでになります。
「シロ」イカと言われていますが、実際には褐色や黄色っぽいことがほとんどです。
締めればどのイカも白くなりますしね。。

泳がせ釣りで釣れたアオリイカ

アカイカ(アカ系)

赤系のアオリイカ
赤系のアオリイカ

アカイカという名前のイカはいますし、通称でアカイカと呼ばれるイカもたくさんいて紛らわしいので「アカ系」と呼ぶのが良いような気がします。

3種類のアオリイカの中で最も大きくなるのがこのアカ系です。
鮮やかに赤いので見分けやすいでしょう。シロイカよりもむしろ南日本の沖合寄りに生息しています。生息水深はシロイカより深めで30〜100mほどになります。
大きな見た目から「レッドモンスター」とアングラーからは呼ばれているアオリイカです。

クアイカ(クワイカ)

クアイカの写真
クアイカ

シロイカとちょっと違いがわかりにくいと思いますが、クアイカは胴長13cm、150gほどで成熟とされるイカです。3種類の中ではもっとも小さいアオリイカですね。

分布エリアはアカ系とほぼ同じとされていて、主に南日本(和歌山以南)の太平洋側に生息しているとされています。

眼の上のエメラルドグリーンが、他の種よりもはっきりと濃く、外套膜がいとうまく斑紋はんもんが明瞭であるという特徴があります。

アオリイカの生態

泳ぐアオリイカ
泳ぐアオリイカ

アオリイカは日本各地(北海道以南から琉球列島)、東南アジアなどの西部太平洋やインド洋、オーストラリアからハワイ、南アフリカまでの中部太平洋といった、かなり広域に分布しているイカになります。他のイカよりも生息範囲が広めな印象ですね。

アオリイカの産卵

産卵するアオリイカの写真
産卵するアオリイカ

アオリイカの産卵期は春です。
冬から春にかけて沿岸の藻場や岩礁域を訪れて卵を産み付けます。

ほとんどのイカは寿命が1年しか無く、産卵後は死んでしまう「一生産卵型」だよ。だから産卵期を知るというのが重要なポイントになるよ。

アオリイカの卵の写真
アオリイカの卵

アオリイカのシーズンは秋と春の2回

アオリイカの子ども
ちびいか

釣りをやる人であればお馴染みですが、アオリイカのシーズンは秋と春の2回があります。

秋のアオリイカは、春に産まれた子どもがある程度成長してきたものになります。そしてたくさんエサを食べるようになるため秋のアオリイカは活性が高く、この時期にアオリイカを狙う釣り人が多くなります。

春のアオリイカは産卵期前となり、もっともアオリイカが成熟している時期になるため大型のアオリイカに出会うことができます。

アオリイカのオス・メスの見分け方

アオリイカはオスメスの見分け方が簡単なので見分けてみるのも楽しみの一つとなります。

アオリイカのオス・メス見分け方

見分け方としては、主に斑紋を見ます。
オスの模様は横長の線模様ですが、メスは丸・楕円形の点模様になります。
また、オスよりメスのほうが小さいのも特徴です。

オスとメスどっちのほうが美味しいの?

これは分かるほどの違いは無いように思います。

アミノ酸の含有量などを考えてみれば、メスは卵巣にどうしても栄養がいってしまうと考えられますし、オスのほうが大型ということで、メスよりじっくり熟成させてアデニル酸を増やせるかも?と考えると、オスのほうが美味しくなるポテンシャルがあるかもしれません。

(参考:アオリイカはオス、メスどちらが美味しいの? _ 横浜丸魚株式会社

アオリイカの旬

泳ぐアオリイカ
泳ぐアオリイカ

イカというのは魚と異なり脂が乗るという概念がありません。
そのため、単純に味を評価するのであれば、甘味やコクなどを左右する遊離アミノ酸含有量です。
遊離アミノ酸含有量は成熟期に増加していると考えられています。
(参考:イカのタウリン、その動き|コラム|ヤマカ食品

そのためアオリイカの旬は春と言えます。
ただ、活性が上がってたくさんエサを食べてちょうど良いサイズになるのが秋です。

食べ方や好みによって変わる

アオリイカの刺身

春の大型のアオリイカは、すぐ食べようと思っても硬かったりします。
そのため隠し包丁を多く入れたり、数日寝かせてうま味成分であるアデニル酸を増やすとか、冷凍させるなどして柔らかくしたほうが良いと思います。(ツツイカ目のイカは冷凍させると甘味が増します)
そうすれば甘味などの観点から考えると秋イカより春イカのほうが強くなると思います。
ただ美味しさというのは甘味だけで決まるものではなく、食感なども大切です。
アオリイカの強烈な甘味を突き詰めたいなら「春イカ」新鮮なイカ特有の食感を味わいたいならば「秋イカ」です。

魚と違ってそこまで旬にこだわらなくても良いかもしれません。

アオリイカのおすすめの食べ方・調理方法

他のイカであればいろいろな調理方法が思いついたりするのですが、アオリイカに限っては、あれこれした調理方法はおすすめできないというのが個人的な意見です。
理由は簡単で「貴重で高価なイカだから」です。笑
エギングでバンバン釣り上げられる人ならアオリイカをイカリングにしても良いかもしれませんが、僕のように何時間も遠投してシャクり続けて釣れないって人からすると、そもそもアオリイカをイカリングにしようという発想自体が出てきません。。

そのため断言しますがアオリイカは生食で食べましょう!他のおすすめはありません。

これぞ高級イカの真髄!「アオリイカの刺身」

高級イカだからこそ腕前が試される

他のイカとは一線を画すのがアオリイカの刺身です!
その甘味はイカのなかでもトップクラス
強烈な甘味にうま味、さらに熟成させることによりそのポテンシャルを引き出すことができるのがアオリイカです。
強烈な甘味を持っているイカと言えばケンサキイカがいますが、アオリイカは切り方を工夫することで様々な食感を楽しめます。
噛むごとに口の中で甘味が広がります。

ケンサキイカ
ケンサキイカ
旨味成分はイカのなかでもトップクラス!
ポイント!

加工中は水気を絶対に避けること。
イカは身の内部層が一番甘いため、その部分を舌に触れさせるためにできるだけ細かく包丁で切り込みを入れると良い。食べやすくもなる。

これぞ甘味爆弾!「アオリイカの握り寿司」

アオリイカの寿司の写真
アオリイカの握り

刺身ときたら外せないのが寿司です。
アオリイカはご飯との相性もバツグンなので、高級寿司屋さんなどではアオリイカのお寿司を出しているお店が多いですね。どこまで甘くするかというのは好みの問題です。
シャリと醤油、イカの甘味のバランスを考えるのが楽しいですね。
シャリは普通の甘さで良いかもしれません。醤油が甘すぎるとイカの甘味を邪魔してしまうかもしれません。

ポイント!

アオリイカのサイズを見て、ほどよく熟成させよう!
刺身と同じく細かく包丁を入れることで口の中でシャリと合わさって噛むごとに甘味が爆発!

アオリイカの釣り方

エギ
エギという疑似餌

自分のような下手くそが話しても仕方がないですし、ネットに情報や動画が溢れているので主にはそちらを参考にしてください。。
アオリイカの釣り方としては、専用のエギという疑似餌を使います。これが水中で飛び跳ねたり動くことでイカを誘います。この釣りをエギングと言います。

引くだけ

エギを動かすのに竿を上下させる「シャクる」という動作をします。ずっとやっていると疲れます。

墨が付いている場所が狙い目

釣れたら締めて持ち帰りましょう。

参考文献・参考Webサイト

以下は、いつもお世話になっている書籍・Webサイトや、今回参考にさせていただきました書籍・Webサイトになります。ありがとうございます!

【書籍】

  • 荒賀忠一,望月賢二,中坊徹次,小西和人,今井浩次,小西英人著編集(1995)『新さかな大図鑑―釣魚 カラー大全』株式会社週刊釣りサンデー.
  • 小西英人(2018-2021)『釣魚1400種図鑑』株式会社KADOKAWA.
  • 石川皓章著(2010-2019)『海の魚 大図鑑』瀬能宏監修,隔週刊つり情報編集部編,日東書院本社.
  • 『おとな図鑑(2) おいしいお魚百科』藤原昌高監修,ぴあレジャーMOOKS編集部.
  • 藤原昌高(2013)『からだにおいしい魚の便利帳』高橋書店.

【Webサイト】