ジンドウイカ(ヒイカ)とはどんなイカ?
ヒイカ、チビイカ、小イカと呼ばれることが多い
正式な標準和名は「ジンドウイカ」です。
しかし、ジンドウイカとは全然呼ばれないイカです。
一番広まっている呼び名は「ヒイカ」なので、ヒイカが正式名称のように思うかもしれませんが、これはあくまで通称です。
イカというのは光に集まってくる習性があるため、「灯りに集まる」という意味で「火烏賊」とされているようです。
(参考:【いか情報】小さいけれど旨味は抜群!ヒイカ(ジンドウイカ))
ちっちゃいため、他の種との区別が難しい
ジンドウイカの特徴と言えば、胴長10センチほどの小型のイカということです。
同じ科別である、ヤリイカやケンサキイカも、ジンドウイカと同じくらいのサイズで漁獲されるため、小さいものは区別されずに「小イカ」として扱われたりもします。
特に幼体のヤリイカ、ケンサキイカとの見分けは難しいですし、地方によっては小型のイカのことを「ジンドウ」と呼んだりするので、さらにややこしいです。
ヒメイカとも呼ばれるが正しくは違う
ジンドウイカ(ヒイカ)など小型のイカは小さいため、極小のイカであるヒメイカと同じように呼ばれることがあります。
ただ、分類的にはヒメイカというのは別の種類で存在するイカになり、正しくは異なるイカとなります。ヒメイカというのは主に1、2センチほどのイカになります。
ヒメイカに関してはまだ新種が出てきたりするなど研究が多い種類です。
胴に対して腕が長い
小さいイカですが、ヤリイカなどとの大きな違いは、胴と腕のバランスです。
ヤリイカは胴が長く腕は短めのイカです。
それに対して、ジンドウイカは胴が短く、腕が太くて長めです。
触腕に関しては胴より長いとされます。
腕についても、それぞれで太さが異なり、第2、第3の腕が大きく太いのが特徴です。
ヒレは、胴長50%くらいにあり、ヤリイカやケンサキイカなどの菱形、というより真四角な形の印象のヒレをしています。
ヤリイカは腕が短くて胴が長いけど、ヒイカは逆だね!
ジンドウイカ(ヒイカ)の生態
ジンドウイカは、主には水深30〜50mほどの浅場の砂底に生息しています。
群れを形成しており、夜間にはエサを求めてより表層に上がってきます。
砂底に生息しているため、底引き網漁で漁獲されるイカでもあります。
そのため砂が混入してしまいやすいという特徴もあります。
食べるものは主にシラスなどの小魚やアミエビなどの甲殻類です。
ジンドウイカ(ヒイカ)の産卵期
ジンドウイカの産卵期は地域差がありますが、主には春から夏にかけて沿岸の浅場(10m以浅)を訪れ卵嚢を産み付けるとされています。地域よっては晩秋(11月頃)からが産卵期となります。
一個体の一回の産卵で数十個ほど卵塊を産みます。そこから数千匹の稚イカが誕生します。
ジンドウイカ(ヒイカ)と似ているイカの種類
混同されるのはヤリイカとケンサキイカです。
サイズ的に見分けられるというのもありますが、幼体時期だとどれがどれだかわかりません。
人間の赤ちゃんも、産まれた時だと誰が誰の子かよくわからないのと同じで、生物としての特徴がまだあまり出てきておらずわかりにくいです。
どれも同じヤリイカ科なので、食味もとても似ています。
成長後の大きさは、ヤリイカとケンサキイカなどと全く異なりますが、幼体の時は見分けが難しいです。ヤリイカとケンサキイカは20〜40cmほどと成長しますが、ジンドウイカは12cmほどにしかなりません。
しかし、ともに寿命は1年くらいです。
ソデイカなんかは、同じ寿命で1mくらいまで大きくなるので、同じイカでもここまで大きさが違うというのも面白いですね。
他の日本の主要なイカ
似ているのはヤリイカ、ケンサキイカです。他にもイカ(以下)のようなイカがいます。
ジンドウイカより小さいとなるとホタルイカなどですね。
ジンドウイカ(ヒイカ)の旬
ジンドウイカ(ヒイカ)の旬は主に冬から春の時期とされています。
地域差があるのでなんとも言えませんが、ジンドウイカの寿命は1年であり、夏が産卵期であるため一番成熟するのが春頃の時期とされています。
イカは魚のように脂が乗るという概念はありませんが、味覚に影響を与える遊離アミノ酸は増加します。
ただジンドウイカは通年美味しいと言われています。
そこまで旬の時期というのは気にしなくて良いと思います。
ジンドウイカ(ヒイカ)の食べ方・おすすめの調理方法
ジンドウイカ(ヒイカ)の調理方法・おすすめの食べ方としては、ヤリイカやケンサキイカと同じです。柔らかくて濃厚な甘味があるのと、ジンドウイカならではのサイズを活かした食べ方になると思います。
小イカは砂の混入に注意
ジンドウイカ(ヒイカ)やヤリイカなど、小型のイカの食べ方の課題でもありますが、海底の砂底域に生息しており、漁獲方法も底引き網で漁獲されるため、どうしても砂が混入してしまいます。
丸のまま調理したい場合でも、胴体の裏を少し開いて内臓を取り除き、中を洗うというのがおすすめです。砂も調味料の一つだと思う同士は、そのまま調理してしまいましょう!ただ食べた時に歯が死んで後悔することもあるので注意です。
ヒイカの場合、1杯だけで購入するということは無いと思うので、とりあえず1杯開いてみて砂が無かったら、そのまま調理してしまっても良いかもしれません。(自己責任で)自分は丸々煮て食べたら中にびっしり砂が詰まっていたことがあります笑
- 調理の際のポイント
砂を含んでいることがあります。完全に砂を除去するには内臓を取り除くしてちゃんと洗うしかありません。
個人で食べる場合には多少砂があっても、それも味わいの一つですが、人に提供する場合は内臓をとって洗うことが大切です。
大ぶりなものは是非!「ジンドウイカ(ヒイカ)の刺身」
小さくて処理が細々としていますが、食べたいのはやはり刺身です。
ヤリイカやケンサキイカと同じく、柔らかく濃厚な甘味を味わうことができるイカです。
イカ本来の味を楽しむのであれば、刺身以上の食べ方はありません。
- ポイント!
皮を剥く時は水分をよく拭き取るように!その後も水に付けないようにしよう!
是非刺身で食べられるジンドウイカを手に入れたら刺身で食べてみましょう!
より強い食感が欲しい場合は、湯引きをしてみるのがおすすめです。
ジンドウイカの美味しさを丸々と!「ヒイカの煮付け」
イカはどんな食べ方でも美味しいですが、丸々と食べられるイカは煮付けが楽ですし、おすすめです!煮込んでも硬くなりにくいですし、歯ごたえが特徴的で、小イカの煮付けでしか味わうことができない味わいがあります!
ただ前述したとおり砂には注意です笑
定番のイカの煮付け!「ヒイカと大根・里芋の煮付け」
ジンドウイカに限らず、ツツイカ系を食べる時の定番ですが、とても美味しいです。
イカの甘味、味が染み込んだ大根、ねっとりとした里芋の相性が本当にバッチリです!
トマト系との相性がバッチリ!「ジンドウイカ(ヒイカ)のスパゲッティ」
ヤリイカやケンサキイカと同じく、トマト料理や、オリーブオイルやニンニクを使う料理との相性がバツグンです。特にトマトとの相性が良く、トマトの強いグルタミン酸のうま味がイカのうま味と甘味にとても良くあいます。
イカには魚のようにうま味成分であるイノシン酸が生成されません。そのためアデニル酸(AMP)との相乗効果を狙う調理方法がおすすめです。アデニル酸はグルタミン酸との相乗効果があるため、グルタミン酸が豊富なトマトとの相性が良いです。
ニンニクやオリーブオイルとの相性も良い
ヤリイカやケンサキイカも同様ですが、ニンニクやオリーブオイルとの相性がとても良いです。
ニンニクついて詳しくは語りませんが、ニンニクというのは調理されることでアリシンが生成され、このアリシンが油などと混ざることでスルフィドという成分に変わります。このスルフィドが食材のうま味を数段上げてくれます。
ヒイカならでは美味しさ!「ジンドウイカ(ヒイカ)のアヒージョ」
前述したとおり、ニンニクやオリーブオイルとの相性が良いからこそ、この食べ方はおすすめです!
アヒージョに使うイカって、シーフードミックスやスルメイカになりがちですが、それらのイカはやっぱりちょっと硬いです。タコも少し硬い。やはり入れるならヒイカがおすすめです!
シンプルな漁師めし!「ジンドウイカ(ヒイカ)の塩ゆで」
小さなイカをちまちまと調理するのは大変だということもあります。一番カンタンな調理方法が塩ゆでです。あまり長く茹でる必要もないので、さっと湯引き感覚で湯に通します。ぷりぷりとした食感があります!
後はカラシ酢味噌や、醤油、ポン酢などなど、家にあるお好みの調味料で食べればOK!
ジンドウイカ(神頭烏賊)の名前・漢字の由来
ヒイカというのは前述しましたが、灯り(ヒ)に集まるイカということでヒイカという説があります。
ジンドウイカのジンドウというのは弓矢の矢じりの一種である「神頭」という部分に形が似ているからという説があります。