ウマヅラハギの特徴
名前のとおり馬のような面長の顔をしているのが特徴です。
皮が分厚くてザラザラと硬く、カワハギと同じで簡単に皮を剥ぐことができます。体の模様は雲状のまだら模様です。
肝が美味しく、肝が大きくなる秋から冬などは肝料理などが人気です。
高度成長期などには大量発生し、コマセ釣りなどでたくさん釣れていました。伊豆などではウマヅラハギを干物にする「干物ロード」ができたと言われています。
カワハギと似ているけど、少し違うんだよね
ウマヅラハギ(馬面剥)の名前・漢字の由来
馬のような顔をしており、カワハギの仲間のためハギ(剥)と付きます。
生態・漁法
北海道南部より南の日本全国の沿岸の岩礁域に生息しています。
基本的に雑食性で海藻類、多毛類、甲殻類、貝など、なんでも食べます。
鋭く硬く強靭な歯が備わっており、甲殻類や貝などを砕いて食べています。
オス・メスの見分け方
オスは体高が低く、吻(目より前の部分)がメスよりもふくらみがちです。メスはオスよりも体高が高く、吻がまっすぐです。
- 豆知識!
ウマヅラハギのメスは体高が高いため、よりカワハギに似ているよ。
ウマヅラハギの旬
肝が大きくなる冬が旬だと言われています。
しかし、産卵期は5〜7月の夏であるため、一般的な魚の旬の時期の判断としては産卵期前の初夏が旬となります。そのため身の美味しさは産卵期前が美味しいと言う人もいます。ただし、産卵期前は真子(卵)に栄養が多く持っていかれるため、身自体の味が落ちるという意見もあります。
どちらにしても、地域によって差があり、いつの時期が美味しいのかという判断は地域によって異なります。
ウマヅラハギの味わい
透き通った白身で、肝は絶品です。
通年で大きな味の差は無く、安定して美味しい魚です。
味わいはカワハギと比較されることが多いです。
カワハギよりも大味で、食味の評価はカワハギよりも劣ると言われることが多いですが、実際にはほとんど遜色が無いという意見も多いです。
カワハギとたいして味の遜色が無いって意見も多いよね
昔は不人気だったウマヅラハギ
昨今ではカワハギと遜色なく美味しいとされ、人気が出てきたウマヅラハギですが、昔は不人気でした。
皮膚がザラザラと鋭く、棘があるため、他の魚を傷つけ、さらには分厚い皮を剥ぐのが面倒だった、という理由から、昔は主に干物などの加工品としてのみで、売られる際も箱単位で扱われていました。
しかし、刺し身で食べられるようになってからその評価が変わり、さらには活け締めの技術や流通の進化からどんどんと評価が上がってきました。
富山湾の漁師にとって、ウマヅラハギはちょっと厄介な魚です。全身を覆うぶ厚い皮の表面には、小さな棘のような鱗が無数にあります。これがヤスリのようにザラザラしているため、網の中で他の魚を傷つけるのです。また、頭部の棘のような背びれが1本突き出ており、これが他の魚や漁師の手に刺さってとても痛いのです。調理するにも、ぶ厚い皮を剥ぐのが手間という理由で、人気がありませんでした。このため1尾ではなく1箱単位で売られ、主に水産加工用に出荷されてきました。そのような不人気ぶりから、ネコも食べない「ネコまたぎ」と呼ばれていたエピソードもあります。
干し物などの加工品として、あるいはみそ汁や煮付けなどの家庭料理に使われることがほとんどでしたが、刺身で食べられるようになって、その価値が、見直されるようになりました。
市場流通
水揚げも多く普通に市場流通しますが、その多くは皮を剥かれた状態で流通します。この場合は安価です。
水揚げ量も多く安価であるウマヅラハギですが、活け締めでも流通する場合は肝の有無も関係してくるため高級魚として扱われることもあります。
ウマヅラハギの有名な産地
ウマヅラハギは全国各地で漁獲することができます。
昔静岡県伊豆半島網代では、ウマヅラハギが大量に穫れ、それを干物にしたことから、干物町が誕生したとも言われています。
魚津寒ハギ(うおづかんはぎ)
昨今では富山県の魚津港で、ウマヅラハギのブランド化を進めています。
それが魚津寒ハギと言われているものです。
冬の富山県では、水揚げの半分近いほどの量のウマヅラハギが穫れることから、ウマヅラハギの価値を高める取り組みとしてウマヅラハギのブランド化を推進しています。
氷見寒ブリのようなものですね。
似ている魚との見分け方
ウマヅラハギと似ている魚には、カワハギ、ウスバハギ、キビレカワハギなどがあります。
ウマヅラハギとカワハギの見分け方
主には体型の違いで分かります。カワハギは体高が高くひし形な形をしているのに対し、ウマヅラハギは体高が低く細い体型をしています。さらには模様の違いや、ヒレの色などで見分けることができます。
ウマヅラハギとウスバハギの見分け方
主には体の大きさや色でぱっと見分けが付きます。
ウマヅラハギは成長して30cm〜40cmほどですが、ウスバハギは70cm以上にもなり、ウスバハギのほうが大きいことが多いです。
また、顔の違いや体色・模様の違い、第一背びれの棘の形状などから比較的簡単に見分けがつきます。