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ウマヅラハギ 馬面剥 【通称・別名】ウマヅラ・ウマ

馬のような面長な顔をしたカワハギの仲間!身も肝も美味!

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ウマヅラハギの見た目の特徴
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主な旬
101
全長
40cm
身質
白身
漁期
通年
人気度
人による
味の評価
普通に美味
希少性
たくさんいる
重要度
普通
旬の時期
食味の良さ
産卵期
漁期
7/1
※各情報は平均的な指標であり、地域や個体によって異なります。
Miyagi Fukushima Toyama Shizuoka Mie Wakayama Ehime Nagasaki Oita

ウマヅラハギの名産地

多く出荷・流通している産地。または主な漁獲可能な産地。

ウマヅラハギの基本情報
分類フグ目カワハギ科
外国名Black scraper,Filefish
学名Thamnaconus modestus (Günther, 1877)
地域名ナガハゲ(関西)チュンチュン(北海道、青森)コウモリ(北陸)ウマヌスット(三重)オキハゲ(大分)
分布北海道南部から九州南部、瀬戸内海含む沿岸。岩礁周りの中層。
漁法定置網、刺し網、底引き網、釣り
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ウマヅラハギ【馬面剥】カワハギの仲間で馬のような面長の顔をしている。カワハギと同じで皮は簡単に剥がすことができ、肝が美味しく肝を利用した料理が人気。

ウマヅラハギの特徴

名前のとおり馬のような面長の顔をしているのが特徴です。
皮が分厚くてザラザラと硬く、カワハギと同じで簡単に皮を剥ぐことができます。体の模様は雲状のまだら模様です。

ウマヅラハギ

肝が美味しく、肝が大きくなる秋から冬などは肝料理などが人気です。
高度成長期などには大量発生し、コマセ釣りなどでたくさん釣れていました。伊豆などではウマヅラハギを干物にする「干物ロード」ができたと言われています。

 

カワハギと似ているけど、少し違うんだよね

ウマヅラハギ(馬面剥)の名前・漢字の由来

馬のような顔をしており、カワハギの仲間のためハギ(剥)と付きます。

生態・漁法

北海道南部より南の日本全国の沿岸の岩礁域に生息しています。

泳いでいるウマヅラハギ

基本的に雑食性で海藻類、多毛類、甲殻類、貝など、なんでも食べます。
鋭く硬く強靭な歯が備わっており、甲殻類や貝などを砕いて食べています。

オス・メスの見分け方

オスは体高が低く、ふん(目より前の部分)がメスよりもふくらみがちです。メスはオスよりも体高が高く、吻がまっすぐです。

豆知識!

ウマヅラハギのメスは体高が高いため、よりカワハギに似ているよ。

ウマヅラハギの旬

肝が大きくなる冬が旬だと言われています。
しかし、産卵期は5〜7月の夏であるため、一般的な魚の旬の時期の判断としては産卵期前の初夏が旬となります。そのため身の美味しさは産卵期前が美味しいと言う人もいます。ただし、産卵期前は真子(卵)に栄養が多く持っていかれるため、身自体の味が落ちるという意見もあります。
どちらにしても、地域によって差があり、いつの時期が美味しいのかという判断は地域によって異なります。

ウマヅラハギの味わい

透き通った白身で、肝は絶品です。
通年で大きな味の差は無く、安定して美味しい魚です。

ウマヅラハギ

味わいはカワハギと比較されることが多いです。
カワハギよりも大味で、食味の評価はカワハギよりも劣ると言われることが多いですが、実際にはほとんど遜色が無いという意見も多いです。

 

カワハギとたいして味の遜色が無いって意見も多いよね

昔は不人気だったウマヅラハギ

昨今ではカワハギと遜色なく美味しいとされ、人気が出てきたウマヅラハギですが、昔は不人気でした。
皮膚がザラザラと鋭く、棘があるため、他の魚を傷つけ、さらには分厚い皮を剥ぐのが面倒だった、という理由から、昔は主に干物などの加工品としてのみで、売られる際も箱単位で扱われていました。

箱売りのウマヅラハギ

しかし、刺し身で食べられるようになってからその評価が変わり、さらには活け締めの技術や流通の進化からどんどんと評価が上がってきました。

富山湾の漁師にとって、ウマヅラハギはちょっと厄介な魚です。全身を覆うぶ厚い皮の表面には、小さな棘のような鱗が無数にあります。これがヤスリのようにザラザラしているため、網の中で他の魚を傷つけるのです。また、頭部の棘のような背びれが1本突き出ており、これが他の魚や漁師の手に刺さってとても痛いのです。調理するにも、ぶ厚い皮を剥ぐのが手間という理由で、人気がありませんでした。このため1尾ではなく1箱単位で売られ、主に水産加工用に出荷されてきました。そのような不人気ぶりから、ネコも食べない「ネコまたぎ」と呼ばれていたエピソードもあります。
干し物などの加工品として、あるいはみそ汁や煮付けなどの家庭料理に使われることがほとんどでしたが、刺身で食べられるようになって、その価値が、見直されるようになりました。

引用元:ウマヅラハギ|富山の食材 検索|越中とやま食の王国 富山県の食文化を伝える公式サイト

市場流通

水揚げも多く普通に市場流通しますが、その多くは皮を剥かれた状態で流通します。この場合は安価です。

皮を剥かれたウマヅラハギ

水揚げ量も多く安価であるウマヅラハギですが、活け締めでも流通する場合は肝の有無も関係してくるため高級魚として扱われることもあります。

ウマヅラハギの有名な産地

ウマヅラハギは全国各地で漁獲することができます。
昔静岡県伊豆半島網代では、ウマヅラハギが大量に穫れ、それを干物にしたことから、干物町が誕生したとも言われています。

魚津寒ハギ(うおづかんはぎ)

昨今では富山県の魚津港で、ウマヅラハギのブランド化を進めています。
それが魚津寒ハギと言われているものです。
冬の富山県では、水揚げの半分近いほどの量のウマヅラハギが穫れることから、ウマヅラハギの価値を高める取り組みとしてウマヅラハギのブランド化を推進しています。
氷見寒ブリのようなものですね。

似ている魚との見分け方

ウマヅラハギと似ている魚には、カワハギ、ウスバハギ、キビレカワハギなどがあります。

ウマヅラハギとカワハギの見分け方

主には体型の違いで分かります。カワハギは体高が高くひし形な形をしているのに対し、ウマヅラハギは体高が低く細い体型をしています。さらには模様の違いや、ヒレの色などで見分けることができます。

カワハギとウマヅラハギの違い

ウマヅラハギとウスバハギの見分け方

主には体の大きさや色でぱっと見分けが付きます。
ウマヅラハギは成長して30cm〜40cmほどですが、ウスバハギは70cm以上にもなり、ウスバハギのほうが大きいことが多いです。
また、顔の違いや体色・模様の違い、第一背びれの棘の形状などから比較的簡単に見分けがつきます。

ウマヅラハギとウスバハギの違い

ウマヅラハギについてまとめ

ウマヅラハギの旬
ウマヅラハギの旬は肝が大きくなる冬が旬と言われるのが一般的です。しかし一年通して大きな味の差はなく、産卵期前の初夏が美味しいという意見もあります。
ウマヅラハギの特徴
馬のように面長な顔が特徴的です。皮はザラザラして分厚く、カワハギと同じように簡単に剥がすことができます。肝が美味で肝を使った料理が人気です。
参考文献・参考Webサイト

以下は、いつもお世話になっている書籍・Webサイトや、今回参考にさせていただきました書籍・Webサイトになります。ありがとうございます!

【書籍】

  • 荒賀忠一,望月賢二,中坊徹次,小西和人,今井浩次,小西英人著編集(1995)『新さかな大図鑑―釣魚 カラー大全』株式会社週刊釣りサンデー.
  • 小西英人(2018-2021)『釣魚1400種図鑑』株式会社KADOKAWA.
  • 石川皓章著(2010-2019)『海の魚 大図鑑』瀬能宏監修,隔週刊つり情報編集部編,日東書院本社.
  • 『おとな図鑑(2) おいしいお魚百科』藤原昌高監修,ぴあレジャーMOOKS編集部.
  • 藤原昌高(2013)『からだにおいしい魚の便利帳』高橋書店.

【Webサイト】

ヽ Author ゞ

おびれ〃

とともん管理人です。元魚屋勤務・海鮮居酒屋店主。調理師。常に魚の情報を追求しています。
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