サンマとはどんな魚?
サンマと言えば日本の秋の食卓を代表する魚であり、誰もが知っていて食べたことがあるお魚でしょう。
一番好きな魚はサンマと答える人も多いほど、日本人に馴染み深い魚です。
そんな国民的な魚であるサンマについて深掘りしていきましょう!
サンマの見た目の特徴
サンマというと「秋刀魚」と書くように、秋が旬の刀のような見た目をしたお魚です。
背は青黒く、お腹側は銀白色で、細長い刀をしています。
サンマを持った時にふにゃっとなってしまうような鮮度が落ちたサンマは「なまくら刀」と揶揄されたりもするよね。
背中側が青黒くて、おなか側が銀白色なのは、海を泳ぐ上での保護色であり、マグロやカツオなど回遊する魚はどれも同じような配色をしています。空を飛ぶ鳥や、下から狙う大型魚類から見えにくい配色になっています。
下顎が突出しており、先端が黄色いのもサンマのトレードマークです。
体の後方には5〜7個ほどの小離鰭があります。
サンマの生態・特徴
サンマは千島列島から本州全域、西部太平洋、アメリカ西海岸など北太平洋に分布するお魚です。
大きな群れをつくり、小型の甲殻類やプランクトンを食べる外洋性の回遊魚になります。
サンマはサンマ科?ダツ科?
いろんな魚を調べていると興味深いの科別分類です。
食べるだけの消費者であれば気にすることではありませんが、似た魚などを調べていると注目するのが魚の分類です。ただ、魚の学術分類はまだまだ研究中な側面が大きく、今現在も頻繁に情報が変わります。
サンマという魚も以前は「サンマ科」という科別分類がされていましたが、2020年に外山太一郎さんらにより、サンマはダツ科に移行することになりました。
DNA解析などがされて現在の正式な分類はダツ科になりそうとのことです。ただ2024年現在ではまだ完全に認知された情報ではないため、多くのWebサイトなどではサンマ科とされています。
ただそのうち国際的にもダツ科と分類されることが濃厚なので、このサイトではダツ科として分類しています。
参考:最近、サンマがサンマ科からダツ科に変わったのを忘れていた:更新 _ ウッカリカサゴのブログ
[PDF] Phylogeny and Jaw Ontogeny of Beloniform Fishes1 _ Semantic Scholar.html
サンマは唯一100%天然・国産物で出回る魚
どこか不思議に思う人も多いかもしれませんが、実は市場に出回るサンマはすべて100%天然で国産物という魚と言われています。
(参考:からだにおいしい魚の便利帳:著 藤原昌高)
サンマは親潮(寒流)の冷たい海域に乗って、南下して日本沿岸に訪れる魚です。
無胃魚でもあるため、回遊性が非常に高く、常にエサを求めて大海原を泳ぎ回っています。
一般的に食用魚として出回る魚は、何かしら諸外国で漁獲されたものが輸入されたり、養殖がされたりしますが、サンマに限っては日本沿岸で漁獲されたものに限ります。
今現在はサンマの不漁により、養殖なども挑戦されていますが、サンマの高い回遊性と、エサを常に食べていなければいけない性質により、水族館レベルであれば飼育は可能だが商業的にはかなりハードルが高いとされています。
サンマの旬の時期
サンマ(秋刀魚)の旬の時期を聞く人はあまりいないかもしれません。笑
サンマの旬は漢字のとおり秋です。
秋を代表する味覚であり、秋頃になるとメディアでばんばんと報道されますよね。
「秋刀魚」という漢字もとても馴染み深いです。
なぜ秋が旬なのか?秋以外は?
旬が秋なのは知っているけど、なんで秋なのか、秋以外は?と疑問に思ったことがある人もいるかもしれません。
サンマは秋頃になると、南下して日本沿岸に訪れます。
サンマの基本回遊ルート
サンマは基本的に以下のように回遊を行います。
年度ごとに気温や海流の変化で差があるので回遊ルートは変わることがあります。それがサンマの漁獲量に影響しているとも言われています。
サンマは黒潮にのってエサを求めて北上し、親潮の寒流に乗って運ばれてくる栄養豊富なプランクトンを食べます。折り返し時期は初夏ぐらいです。
そして栄養を蓄えて産卵のために南下します。
周年産卵を行うとされていますが、主な産卵期は冬頃からで、北太平洋の亜寒帯の広い地域で行います。サンマに限らず多くの回遊魚がこのような季節回遊を行います。
南下してくる時に日本沿岸側に寄ってくるということで、漁獲しやすく、エサもたくさん食べていて脂が乗っているということで秋が旬になるということなんですね。
簡単に言えばサンマは、漁獲しやすくて脂が乗っている時期がちょうど秋、ということになります。
地域によってサンマの旬は少し変わる
サンマに限りませんが、回遊魚というのは時期・場所によって旬が少し変わります。
先程の回遊ルートを見てわかるとおり、サンマの北上の折り返しは初夏頃です。
本州半ばまで南下してくるのが9月10月ですが、北海道では7月となります。
そのため北海道では7月頃から美味しいサンマを漁獲することができます。
北日本のほうが少し旬の時期が速い感じですね。
旬を外した生のサンマより、旬の時期に冷凍されたサンマが勝る
サンマは産卵を終えるとやせ細ってしまうため、旬の時期とそうでない時期とで脂ののり大きく変わると言われている魚でもあります。
サンマの食べ方・おすすめの調理方法
散々語られ尽くしていますし、自分よりサンマの美味しい食べ方に詳しい人もたくさんいると思いますが、基本的なものについて紹介していきます!
ド定番!なぜこんなに美味いのか!「サンマの塩焼き」
もう説明不要ですよね。
誰もが食べたことがあるだろうサンマの塩焼きです!
魚の食べ方の教科書の題材としても使われるくらい日本の家庭でお馴染みなのがサンマの塩焼きですね。普通に焼けばいいのですが、いくつかポイントを紹介します。
サンマは胃が無いから塩焼きでは内蔵を取らないことが多い
サンマは「無胃魚」といって胃がありません。
多くの魚には胃があり、そこで食べたものを消化するのですが、サンマは餌となるプランクトンを食べてから30分ほどで体外に放出しています。
そのため、他のお魚のように胃腸に腐敗した内容物が入っていません。だから内蔵が臭くなく塩焼きとかでも内蔵はとらずにそのまま食べることができるんですね。
ちなみに胃腸などの消化器官が長いお魚は、逆に臭くなりやすいよ〜。アイゴくんとかニザダイくんとか!
塩焼き以外では内蔵は取ろう
ただ、当たり前ですが臓器である「胆のう(胆汁)」は苦いので、塩焼きでも子どもは内蔵を食べるのに躊躇することがあります。親から「サンマの内蔵は美味しいから食べろ」と言われて食べたら苦くてサンマを嫌いになったという人の話を聞いたことがあります。笑
臓器は栄養効果が高いので、大人の味覚かもしれません。
塩焼きだと胆のうの苦みや香りがアクセントになるからという理由で、3つ星レストランとかでは魚の塩焼きでわざと胆のうを潰して胆汁を出して香りを出すという調理方法もあります。
やっぱ炭火焼きがうまい
七輪で焼いているサンマの塩焼きってなんか秋の風物詩みたいなイメージがありますが、やっぱ炭で焼くのか、キッチンの魚焼き器で焼くのかと言ったら圧倒的に炭火です。
遠赤外線の効果で、香ばしい炭火の香りと、皮はパリッと中はふっくらとなります。
どら猫が盗んでいく光景が目に浮かびますね。
大根おろし、ポン酢、かぼす、塩などなど
サンマの食べ方については、ポン酢、かぼす、塩などなど、さまざま食べ方があります。
大根おろしで醤油と七味いうのは定番な食べ方ですよね!本当に美味しいです。
個人的には焼き上がりのサンマに最初から大根おろしを乗せておくと、皮の香ばしさやパリパリ感が無くなってしまうので、できれば個人が食べる時に乗せるのがなおすすめではあります。
それに塩焼きなので、そのまま塩だけで食べるというのもツウな食べ方だと思います!
美味しい生サンマは刺身で食べたい!「サンマの刺身」
流通技術の発展により、日本各地で新鮮なお魚を食べることができるようになりました。
サンマは足が速く(傷むのが速い)、そこまで鮮度持ちが良い魚ではありませんが、お刺身は本当におすすめの食べ方です。
脂ののった青魚のお刺身は本当に美味しいですよ!
うなぎにも劣らない!?サンマの蒲焼
うなぎの蒲焼を自宅で食べるのはなかなか難しいですが、サンマの蒲焼なら自宅でも作れます!
例え包丁が使えなくても、手で開くこともできるのがサンマです。
手で開いて骨を取り、特製のタレで炭火焼きをすれば、うなぎにも劣らないサンマの蒲焼が完成です!
これは外せない!秋の味覚と共に!「サンマときのこの炊き込みご飯」
本当にめちゃくちゃうまいので絶対作ってみてください!
秋と言えばキノコが美味しくなるシーズンでもあります。そんな季節のキノコといっしょにサンマを炊き込みましょう!
内蔵は取って、塩焼きしたサンマとお米、キノコ、だし汁を鍋に入れて炊き込みます!
個人的には土鍋がおすすめですが、火加減が難しいという人の場合は炊飯器を使うのがおすすめです。炊きあがったらサンマの身をほぐしてご飯と混ぜましょう!絶品です!
サンマの目利き・選び方
サンマの目利きはにはいくつかポイントがあります。主には以下のようなポイントを見てみましょう!
魚というのは太っても顔のサイズは変わりません(うらやましい)。そのため脂が乗ったものは肩の部分が盛り上がり顔が小さく見えたりします。
鮮度を見極めるポイントとしては、目、エラ、体表、硬さ、下顎、肛門などを見ます。
でもサンマのエラはあんまり見ないですし、見なくてもわかります。
硬さや体の光沢を見るのが一番
サンマの鮮度については、硬さを見るのが分かりやすいと思います。細長い魚なので、触ることができるのであれば少し尾ビレ側を持ってみましょう。鮮度が良いものは刀のようにピンと立ちます。
それと新鮮なものは体表がとてもピカピカして潤っています。背中側も青黒く澄んだ輝きをしています。基本的にはこのポイントだけである程度わかるような気がします。
下顎の黄色についても鮮やかな黄色が残っているものが良いです。時間が経つと茶色っぽくなってきます。
ただ、ある程度時間が経ったものでもちゃんと黄色かったりするので個人的にはあんまりポイントでは無いような気がしています。
流通方法にもよりますが、目は濁っておらず、澄んでいて張りがあるものが良いです。
ただサンマなどのお魚は、水氷(上記画像のようなもの)で流通されることが多いです。この流通方法は鮮度を保つのにとても良い方法ですが、目がどうしても白濁したり、エラの色が変色したりします。
この場合は、目が濁っているからと言って鮮度には影響がありません。
最近はサンマの値段が高騰してきたこともあり、サンマも下氷などで流通されることが多くなってきました。鮮魚店やスーパーなどで販売されているものはパック詰めされていて触ることができなかったりします。
そういった場合は、目や体表、肛門を見てみます。
肛門については少し慣れが必要ですが、死後間もないものは肛門が締まっているので、内容物がちょっと出てることはありますが、体液が出てることはあまりありません。
時間が経ってくると黄色い体液が漏れ出てくることがあります。塩焼きなどで食べるには十分ですが、生食だとちょっと、、という感じの鮮度感です。
サンマの漁業、漁獲高
毎年秋になるとサンマが豊漁だとか不漁だとかの話題がメディアにでますよね。
そんなサンマの漁法と近年の漁獲高についてみてみましょう。
サンマというのは大きな群れで行動する夜行性の魚です。
そして光に集まる習性があるため、集魚灯などを利用して網に誘導する「棒受け網漁」という漁法が主流の漁獲方法になります。
なぜサンマは不漁になったのか?
サンマといえば、豊漁、不漁で不漁だったら庶民の魚では無くなったと言われて値段が高騰したりします。
これに関してはさまざま思うことがある人も多いかもしれません。
サンマは2008年をピークに、今はその漁獲高が10分の一以下に減り、20分の一くらいになっているのが現状です。
不漁の原因としてよくあげられるのが以下の理由です。
- 温暖化による水温の上昇
- 親潮の変化による餌不足
- 外国船との競争・乱獲
最近だと海水温が上昇していることもあり、どの魚種も旬の時期や生息域が少しズレている印象があります。サンマは寒流を好む魚なので、なおさら温暖化の影響を受けやすい魚だとも言えます。
それと親潮の流れや勢いが弱くなったということで、日本近海のエサが少なくなり、不漁に繋がっているとも言われています。
他には外国で魚食が盛んになってきたということで、資源の取り合いが起こっているのでは?とも言われています。
24年度で中国・台湾と漁獲量の制限が取り決まりましたがそれまでは、どの国の漁船もサンマをたくさん獲っていたという過去があります。
日本も昔は獲れるだけ獲ろうという乱獲を行っていたので、仕方ないですね。。
これからの時代は「大漁だったら安く売る、不漁だったら高く売る」みたいなことはなるべく避けられるような資源管理がより大切になってくると思います。