テナガエビ(川エビ)とはどんなエビ?
テナガエビとは約10cmほどで川や池、沼などの淡水域に生息する代表的なエビです。
同じく淡水域に生息する代表的なエビである「スジエビ」と一緒に、川エビ(カワエビ)と呼ばれるエビです。市場などで流通するときも単に「川エビ」として扱われます。
特徴として、手が長いのでテナガエビと呼ばれます。(主に成体のオス)
ちなみにフレンチやイタリアンなどで高級食材とされる「手長エビ」とは別種です。これはアカザエビというエビで海水性・深海性のエビです。
料理の世界だと、手長エビと言えばこのアカザエビのことを指すのですが、子どもや川遊びをして育ってきた人たちからすれば、テナガエビと言えばまさに本種を思い浮かべることでしょう。
ガサガサ(川遊び)で定番のエビ
川遊びで獲れることで定番のエビですよね。そこそこサイズもあるためテナガエビ狙いの釣りも人気があります。観賞用としても人気ですが、縄張り意識が強いため、複数を一緒の水槽に入れると争いが断ちません。
昔はレジャー以外でも食用としてもそこらじゅうで獲られていたと言われていますが、近年はテナガエビなどの川エビの生息流域の開発が進んでいるのと、水質汚染などで激減傾向にあり、昔ほど見られなくなったと言われています。
テナガエビ(川エビ)の特徴
テナガエビは体色は、やや透明感のある緑褐色・灰褐色をしています。
オスは前脚が長くなる
一番の特徴は何と言っても長い前脚(第2脚)で、テナガエビのオスは成熟していくにつれて、以下写真のようにどんどん手が長くなります。長さは最大で体長の約1.8倍ほどまで長くなります。
ザリガニやカニは第1脚がハサミのように大きくなるのに対し、テナガエビは第2脚が鋏脚となり大きくなります。
テナガエビの手が長い理由
テナガエビの手が長くなる理由としては、テナガエビは縄張り意識がとても強く、他の個体と激しく争うこともあるため手が長く成長すると言われています。場合によっては共食いまでします。
メスの鋏脚はオスほど長くは伸びず細く、体はずんぐりした体型です。
額角はまっすぐで、上縁に10〜14ほどの鋸歯、下縁には2〜4歯あります。
大きくなるにつれてわかりにくくなりますが、頭胸甲の側面には「M字」、や漢字の「凶」を逆さまにしたような模様があり、近種と区別する際の特徴となります。
近種でヒラテテナガエビ、ミナミテナガエビが有名
テナガエビと言っても、国内では主にテナガエビ、ヒラテテナガエビ、ミナミテナガエビがいます。
他にもザラテテナガエビ、ショキタテナガエビ、コンジンテナガエビ、台湾やタイまでいくと体長が35cmほどまでになるオニテナガエビがいます。ただ国内では前述した3種が代表的です。
ヒラテテナガエビはその名のとおり手が太いのでテナガエビと見分けがつきやすいですが、ミナミテナガエビは正直私はよくわかりません。。詳しい方であれば観察すればすぐ見分けが付くと思いますが、ぱっと見ただけでは見分けるのが難しいと思います。
見分け方としては頭胸甲側面のMの字と爪の長さで見分けるようです。
ミナミテナガエビのほうがM字が太くはっきりとしており、爪(指節)はテナガエビよりも短いとされています。(参考:テナガエビの見分け方 ~よく見る3種類~)
ちなみにミナミテナガエビはその名の通り南日本に多く、九州地方などではテナガエビよりもミナミテナガエビのほうが多いと言われています。
テナガエビの産卵期と成長
テナガエビの産卵期は、主に春から夏にかけての5月下旬から9月中旬とされています。
水温が暖かくなってくると産卵が行われます。一度に1000〜2000個ほど産卵します。
川と海を行き来する両側回遊型
産卵後は抱卵し孵化するまで卵を守ります。
孵化した幼生は川を下って海や汽水域まで下ります。
そこで稚エビとして成長します。この間一ヶ月ほどです。そのため8月頃には体長1〜2センチほどの稚エビを多く見かけることができます。
成長した稚エビは再び川へと戻り、川で過ごしながら成長していきます。このようなサイクルを行うことを「両側回遊」と言います。サケとかアユ、ウナギなども同じような回遊を行うことで有名です。
20cmくらいのサイズは2、3年ほど生きている
テナガエビの寿命は1〜3年ほどと言われています。
そのため20cmくらいになるテナガエビは2、3年ほど生きていると言われています。
テナガエビの旬
テナガエビの旬は、一般的に春から夏(5〜8月頃)頃で、6〜7月頃がハイシーズンです。
この時期がちょうど産卵期にもあたり、より活動も活発になります。
温暖な地域ほどやや早めに旬の時期がはじまります。
テナガエビ(川エビ)の食べ方・おすすめの料理・調理方法
特別「これだ!」というおすすめな調理方法は無いかもしれません。
ほとんどの人が素揚げ・唐揚げにして食べるのが一般的だからですね。小麦粉なども付けずにシンプルに素揚げで塩だけで食べるのが一番美味しいと思います。
他には塩茹でなんかも人気の食べ方です。
調理の際のポイント
やはり淡水の砂泥底に生息しているということで、泥をかぶっていたり、淡水特有の川臭さがあります。
そのためしっかりと水洗いや泥抜きを行い、綺麗にしてから、少し紹興酒などに漬けて置くのが良いでしょう。
あとは揚げるなり、茹でるなりをすればOKです!揚げるときはちゃんと水気を切っておかないとハネたりして危ないので注意が必要です。
塩焼きやガーリックシュリンプという食べ方もいいですね!
生息環境によっては臭みが気になるということもあるため、そういった場合はバターなどを使ってガーリックシュリンプなどにすると良いと思います。
キャンプなどのアウトドアレジャーの時に食べるのであれば、炭火で焼いてみるのもおすすめです。
炭火の香りで泥臭さも軽減されて香ばしくなります。
注意点としては淡水の場合寄生虫や細菌などのリスクが高いため、しっかりと加熱するということです。