ウチワエビとはどんなエビ?
ウチワエビとは、セミエビ科に属する15〜20cmほどの平べったいエビです。
団扇のような見た目のエビ
ウチワエビは、名前のとおり体が平べったく団扇のような形をしていることからウチワエビと名付けられました。主には西日本や九州地方で漁獲されるエビで、関東にはあまり出回りません。そのため関東方面では比較的珍しいエビでもあり、流通する場合は高値で取引されます。
意外と身の量が多く、歩留まりが良い
薄平べったい見た目からすると身があまり無いように思えますが、意外と身の量が多くて、歩留まりが良いことから近年評価が高まってきているエビです。
イセエビと同じく歩行型のエビ
エビと言っても、クルマエビやボタンエビなどの浮遊型のエビとは異なり、ウチワエビはイセエビと同じく海底を歩く歩行型のエビです。歩行型のエビは外敵から身を守るために殻が硬く発達しており、ウチワエビも殻が硬いのが特徴です。
ウチワエビの特徴
ウチワエビは、第2触角の柄の第2、4節と頭胸甲を含めた輪郭はほぼ円形で、その形状からうちわを連想させます。
第2触角柄の第4節前縁には9〜10、第2節前縁にも9〜10、側縁には5〜7の鋭い歯があります。
頭胸甲の深い切れ込みの後方には11〜12の歯が並びます。
近種にオオバウチワエビという似ているエビがいますが、このギザギザした歯の部分で区別することができます。
ウチワエビの体長は平均15cmほどで、最大で20cmほどになります。
体色は全体的に赤紫色をしています。裏面には歩脚があり、この脚で海底を歩くように移動します。
ウチワエビの生態
ウチワエビの分布
ウチワエビの分布エリアは、日本から、東シナ海、フィリピン、インド洋、オーストラリアまでの比較的温かい海域に分布しています。日本で言えば、太平洋側であれば房総半島以南、日本海側であれば山形県以南の沿岸に生息しています。
ウチワエビの生息域
ウチワエビは主に水深100メートル以浅の砂泥底に生息しています。昼間は浅く砂に体を潜らせてじっと隠れています。夜になると活動を開始し、貝類や多毛類などの底生生物を捕食します。
砂泥底に生息しているため、漁も底引き網漁などの漁で漁獲されます。
ウチワエビの産卵期
ウチワエビの産卵期は秋です。
秋頃になると、メスは産卵を行い腹肢で卵を抱える抱卵を行います。
孵化した幼生は、フィロソーマ幼生という形態で海を漂いながら成長を続けます。
この幼生は「ジェリーフィッシュ・ライダー」と呼ばれます。
この特殊な幼生は、クラゲに乗りつつ、クラゲを食べながら成長するという不思議な生態を持っています。
(参考:奇妙な幼生?ジェリーフィッシュライダー展示中 _ すさみ町立エビとカニの水族館)
ウチワエビの旬
ウチワエビの旬は地域差がありますが、秋から冬にかけての時期だとされています。
ちょうどこの時期が産卵期であるため、もっと早い時期が旬なのかとは思うのですが、地域によって漁獲時期がこの秋に限定されていることもあることから、秋が旬と言えます。
ウチワエビの食べ方、おすすめの料理・調理方法
ウチワエビのおすすめの食べ方としては、主に刺身、茹で、焼き、味噌汁などがあります!
身はイセエビと比べると少ないですが、見た目から想像する以上に多くあり、味はイセエビ以上だと評する人もいます。
お刺身などで食べるときは、やはりウチワエビのインパクトある見た目を活かすために、姿造りがおすすめです!殻は硬く縁のギザギザが鋭いので取り扱いに注意です。
ボイルする時は、2%ほどの塩水でさっと塩茹ですることで、ぷりぷりとした甘みが増します。
焼く場合は炭火などで殻ごと焼くことで中身を焦がすことなく火を通すことができ、香ばしい風味も堪能することができます。