カタクチイワシとはどんな魚?
単体で食卓にものぼり、さらには煮干しや、釣りでも釣ることができるあらゆる生態系の根幹を作っている魚といえばこのカタクチイワシになります。栄養価も高いのが特徴です。
カタクチイワシの見た目の特徴
カタクチイワシの特徴としては、大きな目、短い下アゴ、そして「背黒(セグロ)」と呼ばれるように黒っぽい背中になります。口は開くと、目の後ろ部分まで大きく開きます。
そのためアゴ(口)が片方しかないように見えることからカタクチイワシと言われます。
マイワシと同様に鱗はとても剥がれやすいです。
カタクチイワシのサイズ
小魚なのでそこまで大きなサイズにはならず、大きくても15〜18cmほどとなります。
平均的には10cmちょっとほどのサイズになります。
カタクチイワシの生態
カタクチイワシは日本各地から北太平洋、西部太平洋まで幅広く分布している魚になります。
日本で最も漁獲される魚はイワシ類であり、海の食物連鎖を支える最も重要な水産資源とも言える魚のひとつです。
温暖な海域を好み、水深の浅い表層付近を群れで行動する魚です。イワシ属は大きな群れを形成することで捕食者から身を守ります。(スイミーのような感じです。)
主には甲殻類や動物性プランクトンを食べています。
カタクチイワシの産卵期
カタクチイワシの産卵期は地域により異なりますが、主には春(3月頃)から夏・初秋(8、9月頃)に産卵を行います。他の魚より産卵期がかなり長く、太平洋側や南日本ではほぼ1年中産卵を行う魚です。
5〜15日間隔で卵を産むというほどで、この繁殖性能が海の生態系の根幹であるとも言える魚のひとつです。
カタクチイワシの旬
カタクチイワシの旬は、地域より差はありますが初夏(5、6月)から秋(9、10月)頃までとされています。旬と言うか多く漁獲できる時期という意味でもあります。
旬の時期が産卵期でもあります。積極的に産卵を繰り返すため、エサもたくさん食べることからこの時期が旬とされています。
北日本の産地によっては冬の時期まで旬とされることがあります。
広島県では6月からカタクチイワシの漁が始まります。
カタクチイワシのおすすめの食べ方・調理方法
カタクチイワシは小魚で、食べ方や利用方法も様々です。
ただどうしても足が速い(痛むのが速い)ので、生食はなかなか難しい魚でもあります。
鮮度が良いものは刺身や天ぷら「小イワシの刺身」
イワシは足が速い(痛むのが速い)魚です。
そのため、生や、天ぷらなどで食べるには鮮度が大切になってきます。広島では「小イワシの刺身」や天ぷらが有名で、新鮮なカタクチイワシを刺身や天ぷらにして食べることができます!
イワシこそまさに水揚げ当日に食べたいお魚です。脂ののっているイワシの刺身は口の中でとろけて最高です。
加工品として幅広い需要がある魚
カタクチイワシの本領と言えば、幅広い加工による食品です。
稚魚であるシラスは重要な海産資源です。
海の生態系はもちろん、日本の食卓の根幹を支えていると言っても過言ではありません。そんなカタクチイワシを使った加工食品について代表的なものを紹介していきます。
煮干し・いりこ
煮干しはマイワシや、ウルメイワシなども使われますが、主にはカタクチイワシが使われます。煮干しは和食の世界では昆布、かつお節に続く出汁の重要素材です。
ちなみに煮干しといりこは呼び方の違いで、「いりこ」という呼び方は主に西日本で使われる呼び方です。
近年は和食やラーメンブームなどもあり、煮干しはとても注目されている素材でもあります。
海外でも煮干しを使ったラーメンも人気です。
出汁を取るために利用されることが多い煮干しですが、そのままでも食べても美味しいため、アーモンドやナッツと一緒にされたフィッシュアーモンドなども有名です
さらには栄養価が高いことから猫のご飯などにも多く活用されています。
シラス
一番食べられているのは釜揚げシラスかもしれません。
ちなみにシラスというのはイワシ類などの色素が薄い稚魚・仔魚のことを総称してシラスと呼びます。「シラス」という魚がいるわけではありません。
そのため、シラスには様々な魚の稚魚やエビが混ざっていることがあります。(フグなどが混ざっていてニュースになってしまうこともあります)
生シラスは鮮度が大切なので、美味しいものを食べたい場合は、神奈川や静岡の漁港に行って水揚げされた当日に食べるのがベストです。新鮮なものは舌触りがよく弾力があります。
生シラスは冷凍でも出回っていますが、どうしても解凍すると柔らかくなり苦みが強く出てしまう印象です。身が硬くピンとしていて張りがあるものが望ましいです。時間が経つとドロドロとしてきて苦みを感じやすいです。
シラスというのは乾燥具合や加工状態によって呼び方が代わります。
ちりめんじゃこ(かちり)
カタクチイワシに限らずイワシ類全般のシラスを用います。
シラスを食塩水で煮た後に天日で干してカリカリになるまで乾燥させた食品のことをちりめんじゃこと言います。
保存性が高く、佃煮などにもされておにぎりの具としてもとても人気です。
釜揚げしらす、シラス干しとの違いは、乾燥による水分率です。乾燥度合いによって呼び名が分けられています。
呼び方 | 水分率 | 状態 |
---|---|---|
釜揚げしらす | 80%ほど | 水揚げ後のシラスを塩ゆでしたもの |
しらす干し | 70%ほど | 茹でたシラスを天日干しや乾燥機で軽く乾燥させたもの |
ちりめんじゃこ | 40%ほど | 釜揚げシラスなどをカリカリの食感になるまで干して乾燥させたもの |
乾燥度合いが変わってくると保存性も変わってきます。
たたみいわし
たたみいわしとは、シラスを天日干しして、薄く板状にプレス加工したものになります。
炙ることで香ばしくパリパリとして、シラスの旨味と香ばしさを堪能することができます。
健康的なおやつです。見かけたら即買いですね!
カタクチイワシの唐揚げ・南蛮漬け
ニシン目の魚は青魚であり、小骨も気になりやすい魚が多いです。
小骨が気になりやすい魚の場合、揚げるか酢漬けにすることによって骨が気になりにくくなります。
そのため、まずは唐揚げにして食べて、残りは南蛮漬けにして次の日に食べるという食べ方がおすすめです。翌日のほうが骨が柔らかく味も染みているので美味しいです。
オイルサーディン
おすすめのレシピというわけではありませんが、さまざまな料理に活用できるオイルサーディンはおすすめです!カタクチイワシの場合は、マイワシのように大きくは無いですがその分活用範囲が広く何にでも使えます。
オイルサーディンは保存性も食味も優れたイワシの食べ方です。
香草と一緒に缶詰とされているものは、香りも良くどんな料理にも合います。ご飯と一緒に食べてもいいですしパンやパスタにも合いますよね!缶詰のものは非常食として買い置きしておいてもいいかもしれません。
アヒージョなんかにしても良いですね!
アンチョビ
個人的にめちゃくちゃ好きなのがアンチョビです。
オイルサーディンとアンチョビの違いは加工方法で、オイルサーディンはイワシの頭と内臓を取り除いたものを塩水に漬けてから水分を拭き取り、香辛料と一緒に低温の油で煮たものになります。
アンチョビは、オイルサーディンの非加熱版です。オイルサーディンは加熱されるのに対し、アンチョビは加熱されずに塩漬けされ熟成発酵されます。
主にはイタリア・スペイン、モロッコなどで流通しています。
塩辛いのでオイルサーディンのように単体でそのままパクパクと食べるというものではないです。
味付けのための調味料のように使うイメージです。
アンチョビ独特の塩辛さは本当に特有で、料理の味付けで「アンチョビを使わないとこの味は出ない!」となるほど特徴的なものです。
アンチョビと言ってもフィレ・ロール・ペーストと、形状によって分けられて販売されているので料理にあった適したものを買いましょう。何を買っていいか分からなければ普通にフィレタイプを買えば大丈夫です。自分でペーストなどに加工もできます。