トリガイとはどんな貝?
トリガイとは、殻長約7センチほどの黄褐色の二枚貝です。コリコリとした歯ごたえとほどよい甘みが美味しく寿司ネタとして人気の貝です。
貝殻の形状は膨らんでいて丸みがあり、表面には放射スジが40本ほど入っています。
スジの部分には短い毛が生えているのが特徴です。
なぜ鳥貝というのか?
鳥貝の名前の由来としては、食味が鶏肉に似ているということ説や、足が長く鳥のくちばしのように見えるから鳥貝と名付けられたという説があります。
この足の部分は「オハグロ」とも呼ばれて、鳥貝の筋肉で味が良い部分です。
貝はこの足の部分を使って砂に潜ったり、時にはジャンプしたりして天敵から逃げたりします。
それら足の動きが、鳥がくちばしでつついている姿に似ているというのもあります。
一般向けにはほとんど出回らない飲食店用の貝
トリガイというのはほとんど一般には出回りません。さらに言うと活けの状態ではほとんど出回りません。
飲食店向けとしても以下のように剥いて湯引きされた状態で卸されることがほとんどです。
理由としては、トリガイというのは貝殻が脆く割れやすいというのと、鮮度保持が難しく、トリガイにとって重要な黒色も生のままだと色落ちしやすいという特徴があります。
さらには、お刺身や寿司で食べるにしても、トリガイは完全に生のままで食べることはほとんどありません。
湯引きをしていない状態だと身に締まりが無く食感や食味もあまりよくないからですね。
そのため活けの状態で仕入れたとしてもそのまま生で刺身や寿司にするということは無く、必ず湯引きなどを行います。
また、海外からの輸入も増えているため、湯引きをした状態で輸送することで鮮度保持をしやすいのと、湯引きをしておくと冷凍もでき、輸送コストや歩留まりの観点から、トリガイは加工した状態のメリットが大きいため、活けの状態では出回りません。
鮮度が落ちてくると、この足の黒色もどんどん白っぽくなってきます。そのため選ぶのであればなるべく黒ぐろとしていてふっくらとしているものを選ぶのが良いです。
トリガイの生態
トリガイは、水深10〜30mほどの浅海の砂泥底に潜っている貝です。
寿命は2〜3年と、他の二枚貝に比べて短いです。3年ほど生きて最大10センチほどの大きさです。
トリガイの産卵期
トリガイは1個体がオスメス両方の生殖機能を備えている雌雄同体の貝です。
産卵期も春(4月〜6月)、秋(9〜11月)の2回か、もしくは6〜11月までずっと産卵期といったように、繁殖期間が長い貝です。
一度に大量発生することもあれば、あまり獲れないこともあるなど、生息場所や年度によってばらつきが大きく、安定しません。
トリガイは3〜6月しか出回らない
安定供給が難しいため、トリガイは3〜6月の時期にしか出回りません。
それ以外の時期に食べるには冷凍されたものを使う形になります。
これが一般向けには出回らず、飲食店向けに卸される理由でもあります。
トリガイの旬
トリガイの旬は、地域差やその年の気候によりますが、主に春から初夏(3月〜6月)の時期とされています。産卵期前となるため、栄養を蓄えており、身がふっくらとします。
逆に旬の時期以外ではそもそも漁獲されることが無いため、味の判定などもできません。
トリガイの食べ方・おすすめの料理
トリガイを活けで入手することができれば、様々な料理が楽しめますが、そうでは無い場合はやはりお寿司かお刺身という選択肢しかありません。
盛り付けるだけ!「トリガイの刺身」
最も定番なトリガイの食べ方です。すでに湯引きされて売られているものを変えば、盛り付けるだけでトリガイのお刺身の完成です笑。
湯引きすることによって、コリコリ・しこしことした歯ざわりの良い食感が生まれ、さらにはトリガイの甘味が引き立ち、噛むごとに甘味やうま味を感じることができます。
黒色が映える!「トリガイのお寿司」
まさにお寿司屋さん専用の貝だと言えるのがトリガイです。
ほどよい甘さのトリガイは酢飯との相性も良いです。一年の間で決まった時期しか出回らないという希少性も相まって寿司屋の名店などがこぞって買い付ける貝だと言えます。
韓国の味覚!贅沢なトリガイのしゃぶしゃぶ
なんとも贅沢なトリガイの食べ方がお隣の国では行われています。
剥いたトリガイを大皿に並べて、野菜を入れて煮立てた鍋でトリガイ10〜30秒ほどしゃぶしゃぶして、鍋の野菜と一緒に食べるという料理です。セチョゲ(トリガイ)しゃぶしゃぶと言います。
タレはわさび醤油やコチュジャンなどです。開かずさっとしゃぶしゃぶするため、プリプリとした食感が堪能できます。
今の日本ではまず見られない光景ですが、韓国では大量のトリガイが穫れるのか、このような豪快な料理があります。なんともうらやましいですね!