サヨリってどんな魚?
サヨリは背中は青緑色で、腹側は銀白色に輝き、身は半透明で細長い体型をしている魚です。全長は平均で20〜30センチほどで、最大で40センチほどになります。15cmぐらいの若魚は鉛筆🖊のように見えることからエンピツサヨリとも呼ばれます。
サヨリ科の共通な特徴としては、下顎が長く突き出し、上顎は小さく短いところにあります。同じダツ目でダツ科の魚は上下の顎が同じ長さですが、サヨリ科は下顎が長いです。下顎の先端は赤い色をしています。
背ビレは体のかなり後ろのほうに付いており、尻びれと上下同じくらいの位置に付いています。
体はあまり側扁しておらず、お腹の底の部分は平らな形状をしています。ウロコはかなり薄くはがれやすいため、店頭に並ぶときにはほとんど無くなっています。
生態や特徴
サヨリは北海道南部から九州、太平洋沿岸及び日本海沿岸、更に朝鮮半島沿岸から黄海など、広くに分布しています。
海面すれすれを群れになって泳ぐ
サヨリは、沿岸の表層面、内湾付近の海面すれすれを群れをなして泳いでいることが多く、波立てながら泳ぐ姿もよく見られます。トビウオに近い種でもあり、驚くと水面上にジャンプすることもあります。
北原白秋の詩で「サヨリの家は ま水か塩か」というものがありますが、このようにサヨリは河口の汽水域まで入ってくることがあり、堤防でコマセ釣りなどで釣ることもできる魚です。
サヨリは動物性プランクトンを主食としてます。アミエビ、小型甲殻類、水面に落下した昆虫などを食べています。およそ2年ほどで成熟します。
サヨリの産卵期
産卵期は4~8月ほどであるされ、最盛期は5~6月前後から夏にかけての期間です。
藻場や流れている藻、ときには水面を漂う藻の上に産卵を行います。
「サヨリのような人」という言葉は、内面が腹黒い人の比喩
サヨリは、外見は銀白色に輝いており、体型はスラッとして細く、身は透き通っていて透明で、口元は口紅を塗ったかのように赤いなど、美しい外見の魚です。
そのため、サヨリを「外見が良い人」のように例える人もいます。
しかし、実はお腹の部分を開くと、内側に黒い膜(腹腔膜)があり中は真っ黒なのです。
そのため「サヨリのような人」という言葉は「外見はよくても、内面は腹黒いやつ」という比喩表現で使われます。
美しい魚だからと言って、お寿司屋さんとかで女性に「君はサヨリのような人だね」と言わないようにしましょう!(無いか…)
私の知り合いに「さより」という名前の女性がいますが、この比喩表現のせいか自分の名前をすごく嫌っていました。。
ただ、このお腹の中の黒い膜にもちゃんと意味があるとされています。サヨリは身が透き通っていることから、紫外線から内臓を守るために、黒い膜で保護していると考えられています。
サヨリの味わい・食味
身は透明感のあるきめ細かな白身で、淡白な味わいです。
脂肪分は少なく、適度な硬さで歯切れの良くやわらかな食感です。
淡い旨味があり、どこか青魚のような独特な風味を持っています。きめ細かい身は口当たりがなめらかで、噛むごとにねっとりと濃厚かつ上品な旨味を味わうことができます。
サヨリの食べ方・調理法
サヨリは寿司や天ぷらで定番の高級食材です。
向いてる料理・調理方法は、刺身、塩焼き、天ぷら、薄造りの昆布締め、潮汁などがあります。
皮を剥いでも銀色の膜が残り、身が透き通っていて美しく、かつ、身が細長いことから料理や持ち付けのアレンジの幅が広く「結びサヨリ」など、碗だねとしても抜群で、お祝いの席などでも重宝される魚です。
刺身では身をぶつ切りにして盛ったり、巻いてみたりと盛り付けのアレンジの幅が広いです。昆布締めはもちろん、酢じめにしても良いですね。剥がした皮も炙って美味しく食べられます。
天ぷらで揚げると、サヨリ特有の青魚感や特有の旨みがさらに強く感じられ、これまた美味です。
干物が美味!
サヨリは焼き物も美味しいです。塩焼きでも美味しいですが、塩を振って干物にすると、旨味が凝縮され、さらに美味しくなります。希少ですが、サヨリの干物は絶品の味わいです。
サヨリの旬
サヨリは通年漁獲されますが、旬は地域によって異なります。
ただ、一般的には春の魚と言われることが多いです。
主な産地である千葉県や茨城県では、11〜3月頃と晩秋から春が旬と言われています。
石川県や広島県では3〜5月の春の時期が旬となります。
産卵期である春の終わりから夏にかけては、産卵によって身質が落ちるとされます。
主には11月頃から市場への入荷が増え、冬・春ごろに多くのお店で扱われます。
目利き・選び方のポイント
サヨリの鮮度を見分けるポイントとしては、体の綺麗さが失われているかどうかで見てみましょう。
ここをチェック!
サヨリの特徴である長い下あごは、赤みを帯びていますが、鮮度が悪くなってくると、この赤色がだんだんと薄くなってきます。そのため、赤みが薄いものや消えてしまっているものは避けるようにしましょう。
お腹は、銀白色に輝いていて、触ってみてしっかりとした固さがあるものを選ぶようにします。
サヨリは内臓が痛むスピードが早いため、腹部の硬さというのは重要なポイントです。サヨリの下処理のポイントとしても、いち早く内臓を取り除くのが重要です。そうしないと内臓の臭みが残ってしまいます。
- 下処理のポイント!
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内臓は痛むのが早いので、できるだけ素早く取り除いて処理しよう!
同様に背中側も張りがあり光沢があって輝いているものが良いです。
そして、やはりエラ蓋を開けてみて中のエラが綺麗な赤色かどうかを見てみると確実です。
また、目に膨らみがあり澄んでいるかどうかも見てみましょう。
ウロコに関しては、多くウロコが付いているものが良いのですが、サヨリはとてもウロコが剥がれやすい魚であり、水揚げ時に多くが剥がれ落ちてしまっていることが多いです。
サヨリの釣り方・漁法
一般的な釣り方として、サヨリは海面の最表層にいることが多いため、沿岸に寄っている場合は延べ竿でのウキ釣り、サビキ釣り、コマセ釣り、トリック仕掛け釣りが一般的ですね。
サヨリの群れがいるときは、海面の波立ちで分かる場合があります。
少し離れている場合は、コマセカゴと飛ばして、ウキの付けたカゴ釣りで狙います。
ルアーやワームでも釣ることができますが、サヨリは群れで行動するため、効率も悪くあまりおすすめではないです。エサはアミエビやジャリメを使用し、サヨリがよく集まる場所である堤防の先端や岸壁のカドを狙いましょう。
漁法
商業的な漁業としての漁獲方法はサヨリ二艘曳網漁、巻き網漁、刺し網漁などで漁獲されます。
サヨリ二艘曳網漁とは、一枚の縄で繋がった網を2隻の船で引っ張って漁獲するという漁法です。
引用元:パッチ網操業概要 _ 漁船情報 _ 大阪湾運航サポート協議会.html
漁期については地域によってバラバラで通年漁獲されています。11月から漁が始まる地域もあれば、1月や2月ごろから始まる地域もあります。
勝雄さんの船から徳雄さんの船に曳きツナが渡されると、2隻の船はエンジンをうならせ間合いを広げていく。 同時に網とツナについた錘が船尾の金属板に当たって、『カン、カン、カン、カン、カン』と心地よい金属音を奏でながら網とツナが勢いよく海に飛び込んでいく。船から伸びるツナが全て出切る頃、2隻の間隔は60mほどに広がり、船尾から見る海面にはV字様に網が展開された。漁場は水温12℃。網を曳く船の速さは3.5から5ノット(時速6.5から9km)。曳き網時間は30分から1時間。さて、今日は多くの麗人にお目にかかれるだろうか。
(引用元:春の風物詩 二艘曳きのサヨリ漁(Webマガジン いばらきの地魚市場vol.3) いばらきの地魚取扱店サイト)
【雑学!】サヨリ(細魚、針魚、鱵)の名前・漢字の由来
サヨリの名前の由来は、海面近いところを群れで泳ぐことから「いさより(磯寄り)」が変化したものと言われています。
また、古くは「ヨリトウオ」と呼ばれており、これはより糸が短くなったもので、卵が糸状に繋がっていることから名付けられたともされます。そしてその後、「狭く長い」という意味である「サ」と「ヨリトウオ」からとった「ヨリ」で「サヨリ」となった説があります。
または、サヨリが群集する姿から「サハヨリ」→「サヨリ」となった説もあるとのことですね。
漢字の説
これは体の見た目がそのまま漢字になっています。サヨリは細いことから「細魚」と書かれることが多く、「針魚」の漢字表記も同様に、体が細いことからこの漢字がついたと言われています。
上記よりはあまり見かけませんが、漢字では「鱵」とも表記されます。
この字は魚へんに「箴(針・鍼)」が組み合わさったものとされます。中国でのサヨリの名称は「箴魚」といい、そこから鱵という字が生まれたと言われています。
サヨリは、ダツ目サヨリ科に属する魚。沿岸・汽水域の海面近くに生息し、食用魚でもある。サンマに似て細長く、下顎が上顎より長く突き出しているのが特徴。
「サヨリ」は古くは「ヨリトウオ」と呼ばれていた。「ヨリト」とは「より糸」が短くなったもので、サヨリの卵が糸状に繋がっていることから、古代の日本人が「ヨリトウオ」と名付けたと思われる。その後、「狭く長い」という意味の「サ」と「ヨリトウオ」の略称「ヨリ」で「サヨリ」となった説がある。他にも、サヨリが群集するさまから「サハヨリ」→「サヨリ」となった説もある。
漢字の「鱵」は魚へんに「箴」(=針・鍼)が組み合わさったもの。サヨリの中国での名称はもともと「箴魚」といい、そこから「鱵」の字が生まれた。日本では「針魚」の漢字表記が最初に使われ、江戸時代初期から「鱵」の字が使われだした。このほかに現在では細長い体の特徴から「細魚」という漢字表記も使用されている。
(引用元:「鱵」「細魚」「針魚」(さより)の名前の由来 _ 雑学ネタ帳)