エゾアワビとはどんな貝?
エゾアワビとは、クロアワビの北方種で、日本で最も漁獲されている種類のアワビになります。
10cmほどの殻長で、主には北海道や三陸沿岸に生息しています。
アワビというのは多くの人のイメージ通り高級な食材の一つで、日本以外でも中国などで人気が高く、同様に高級食材として扱われています。
エゾアワビの特徴
日本にはエゾアワビの他に、クロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビなどがいます。
これらのアワビと比較すると、エゾアワビは一番小さめのアワビです。(他にトコブシがいるけど除外)
クロアワビの北方種であるため、食感も味もクロアワビ同等に近い評価をされており、殻や見た目もとても良く似ています。
エゾアワビは貝殻の殻長部(アワビであれば顔と逆のほう。写真では左側)が緑っぽくなることがありますが、これは放流貝だとされています。完全に天然から育った稚貝はこのように緑っぽくならないそうです。
(参考:ミニ知識/エゾアワビ _ 岩手県水産技術センターWeb)
日本で最も漁獲量が多いアワビ
エゾアワビは他のアワビと比較して病気になりにくいという特徴があります。
そのため養殖業に向いており、流通量がもっとも多いアワビです。
日本以外でも、韓国や台湾、ハワイなどでも養殖されてきており、高値ではありますが年々数を増やしてきており年々安くなってきています。それに比較して他のアワビはどんどん減少傾向にあります。クロアワビも養殖が始まっているので安定した養殖が可能になればアワビはもっと身近な食材になるかもしれません。
養殖アワビの特徴
エゾアワビは殻長10〜12cmほどに成長しますが、養殖の場合はより大きくなりやすいとされています。そのぶん養殖のほうが食感が柔らかめとなり、風味も天然よりは落ちると言われることが多いです。
食感については人ぞれぞれ好みがあるのでなんとも言えませんが、食味に関してはクロアワビのほうが評価が高いです。
アワビの片思い
余談ですが、「アワビの片思い」という言葉があります。
これは「貝なのに貝殻が片方しかない、、可哀想、、」という表現の言葉です。しかし、アワビは二枚貝ではなくサザエなどと同じ巻き貝なので、殻が片方だけなのは自然なんですね笑
エゾアワビの生態
エゾアワビは、房総半島以北の本州太平洋側の三陸沿岸や、北海道沿岸、朝鮮半島に分布しており、水深10m以浅と浅い岩礁域・磯場に生息しています。
岩礁域・磯場に生息する貝
水深が浅い場所では日光が海底にあたり、海藻が岩場に生い茂ります。そんな場所の海藻を食べて生きています。
ただエゾアワビは寒冷地に生息しているため、成長が遅くサイズが小さめと言われています。
そのためエゾアワビを南側に持っていくと成長速度が早まりより大きくなりやすいそうです。
エゾアワビの産卵期
エゾアワビの産卵期は、主に8月から10月にかけてとされています。
アワビは雄雌異体で、産卵期になると雄は精子を海中に放出し、メスは呼水孔と呼ばれる穴から卵を海放出します。これにより受精卵となり海中で孵化したあと幼生時期を過ごします。
幼生時期もちゃんと巻き貝の形をしており、次第にどんどんとアワビの形へと成長していきます。
(参考:エゾアワビ[蝦夷鮑] – 水産林務部森林海洋環境局成長産業課)
エゾアワビの旬
エゾアワビの旬は、産卵期から考えると主に初夏から夏(6〜8月頃)と言われますが、北海道のエゾアワビの流通時期は11月から3月とされ、この時期がエゾアワビの旬とも言われています。
これは北海道のエゾアワビ養殖では採卵時期が3月〜4月のため、その前の時期に漁獲されるためだと思われます。
エゾアワビの食べ方・調理方法
エゾアワビは、お刺身はもちろん蒸したり、ステーキにしたりとさまざまな調理方法で貝類最高峰の味を楽しむことができます!
お刺身にする時は肝も有効活用するのが良いです。肝をそのまま食べても良いですが醤油に溶かした肝醤油などにして食べるのもとても良い食べ方です!
エゾアワビのおすすめの料理
エゾアワビを使ったおすすめ料理としては、やはりお刺身・お寿司、煮アワビ、蒸しアワビ、アワビステーキなどがおすすめです!
好みによりますが、エゾアワビとクロアワビは歯ごたえがしっかりとしているためお刺身に向いていると言われます。
シコシコとした歯ごたえが最高!「アワビのお刺身」
アワビのお刺身の作り方
アワビはまずタワシなどで掃除します。身が少し白くなるのでスパチュラや洋食ナイフ、スプーンなどを使って殻から貝柱を外します。湾曲するスパチュラなどのほうが殻に沿って失敗しにくいかと思います。
そうしたら肝を傷つけないように外し、内面をまた少し掃除します。
塩もみは好みで良いようなイメージがあります。揉むことで少ししょっぱくなるのと、食感が硬めになります。
アワビの場合は、醤油なじみを良くするために、切る時は波切りして断面がギザギザになるように切るのがおすすめです!
アワビは貝毒の心配がないので肝も生で食べられます。ただし数十個分と食べまくると光過敏症になるらしいです。そのくらい食べまくってみたいものですが笑
肝をペースト状にしてお寿司と一緒に!「アワビの握り肝乗せ」
肝醤油でも良いのですが、肝乗せにすることでよりダイレクトに肝の風味を感じることができます。
肝のほのかな苦味が、アワビの身の甘さをより引き立ててくれます!
これぞ旅館の味!「エゾアワビの酒蒸し」
よく旅館などで見られる定番メニューです。
貝って本当に酒蒸しが美味しいですよね。アワビは蒸すことで身が柔らかくなり食べやすくなるため、コリコリのものよりもしっとり柔らかいものを食べたい!という場合は酒蒸しがおすすめです。
バターとの相性はテッパン!「エゾアワビのステーキ」
アワビに限らず貝類ってバターとの相性がとても良いですよね。
特にアワビはバターでステーキにしたり、酒蒸しにするのが個人的に大好きです。