タイラギ(タイラガイ)とはどんな貝?
タイラギ(タイラガイ)とは、水深10メートルほどの浅い砂泥地に生息する大型の二枚貝です。
殻長さは最大で30cmを超えることもある大きな貝です。
タイラギ・タイラガイ、呼び方は人それぞれ
標準和名は「タイラギ」ですが、「タイラガイ」と呼ばれることがかなり多いです。
僕も都内築地に通っていた魚屋でしたが、タイラギの呼び方はずっとタイラガイだったので、タイラガイと呼びます。
そもそもタイラギという名称は、タイラガイが訛ってタイラギになったと言われています。
タイラガイのほうがなんとなく覚えやすいですよね。
ただ、正式な標準和名は「タイラギ」です。
英名ではペン先ににているということからPen shell(ペンシェル)とも呼ばれます。
平らな貝だからタイラガイってわかりやすいね。
準絶滅危惧種でもある
タイラガイは、環境省のレッドデータブックでは「準絶滅危惧種」とされています。
そのため今では高級食材とされています。
しかし、最近は有明海で養殖なども行われて、個体数が復活してきていたり、韓国からの輸入も増えています。
タイラギ(タイラガイ)の生態
タイラギは、砂泥底に垂直に突き刺さるように埋もれて生息しています。そのため「タチガイ」「タテガイ」とも呼ばれます。
足糸と呼ばれる無数の糸(繊維)を、砂泥の中のゴミや石などに絡み貼り付けて、船のアンカーのように流されないように体を固定しています。主にハボウキガイ科や、ムール貝などのイガイ科などに見られる特徴です。
砂泥地に生息する貝
タイラガイは殻を開閉することで内部に海水を取り込み、プランクトンや有機物を食べています。
タイラギの産卵期
タイラギの産卵期は地域によって違いがありますが、一般的には 夏(7月~9月)頃 とされています。
開いてみると分かりますが、肝(生殖巣)がクリーム色をしているのがオスで、赤っぽい色をしているのがメスです。ホタテと同じですね。
産卵期になると、タイラギのメスは海中に大量の卵を放出し、そこにオスが精子を噴出することで受精卵となります。その後幼生時期を過ごしてから次第と貝の形になっていき、数ヶ月かけて成貝へと成長していきます。
高確率で潜んでいるカクレエビ
タイラガイを開く時の楽しみの一つとして、カクレエビの存在があります。
カクレエビとは全長3、4センチほどの小さなエビです。小さなエビと言っても寄生生物としては大きいサイズです。
魚もそうですけど、有害ではない寄生生物というのは見つけるのがなんか楽しいです。食べれますしね。このカクレエビも食べることができます。
夫婦で住み着くかわいいエビ
おもしろいのが、夫婦ペアで住み着くという特徴です。
カクレエビ夫婦からしたらタイラガイはお家みたいなものですね。ちなみに大きいほうがメスだそうです。
このカクレエビですが、食べることができ、茹でてそのまま食べることができます。
唐揚げにしてもいいですけど、油を使うのはちょっと面倒ですね。
飲食店であれば、お客さんにサービスとして提供するとちょっとおもしろいかもしれません。
タイラギ(タイラガイ)の旬
タイラギの旬は、漁期と同じで 12月から3月 です。
この時期になってくると、産卵で体力を消耗したタイラガイが栄養を蓄えてきて、肉厚になり美味しくなってくる時期です。遊離アミノ酸なども増えて甘味が増してきます。
また、水温が下がることで貝柱が締まり、歯ごたえが良くなります。
そのため、お刺身や寿司ネタとして提供されることが多いです。
タイラギ(タイラガイ)の食べ方・調理方法
タイラギの特徴としてはなんと言ってもその大きな貝柱にあります。
大きな貝柱と言っても貝殻のサイズからしたらそこまでデカいと感じない人もいるかもしれません。(僕は最初見た時そう思いました)しかし、それでも大きな貝柱であることには変わりありません。
ホタテの貝柱と似ていますが、ホタテほど濃厚な甘味やうま味は無いというのが正直なところです。
ただ、タイラギならではのしっかりとした貝柱の食感や、少しだけ苦味がある独特な風味というのは、通が好む味でもあります。
また貝殻がデカくて派手なため、お刺身盛り合わせの器などに使うととてもインパクトがあって見た目も良くなります。
タイラギ(タイラガイ)の食用部分
タイラギの食用部分は主に貝柱(大・小)、貝ヒモ、肝(生殖巣)の3つの部分になります。
カクレエビがいればカクレエビも食べられます!
その他は食べません。
関東だと「タイラガイは貝柱しか食べない」という風習?があります。
自分も魚屋の時は貝柱以外は捨てていました。今考えるとなんかもったいない。。
でもタイラギがどんどん高級になってきたこともありますし、ヒモも肝もホタテと同じく食べられるんだから食べたいですよね。
ちなみに肝(生殖巣)はクリーム色しているのがオス、赤オレンジ色なのがメスです。ホタテと同じです。
メスはわかりやすいですが、オスの肝を捨ててしまわないように気をつけましょう。
タイラギ(タイラガイ)の下処理と食中毒
タイラギに限った話しでは無く、貝類全般に言えることですが、生食する場合は食中毒の危険性をしっかりと考えて置く必要があります。
生で食べるのは基本的に貝柱のみで、その他は湯引きするなどして加熱しましょう。
貝柱も周りにスジや膜が付いているのでしっかりと掃除することが大切です。
これら下処理を怠ると腸炎ビブリオなどの危険性が高まります。
殻の縁はとっても鋭いから、開く時は気をつけよう!
タイラギ(タイラガイ)のおすすめの料理
タイラギはやはりその大きな貝柱を堪能できる食べ方で食べたいです。
そのため、やはりお刺身・お寿司がおすすめです。
巨大な貝柱を堪能!「タイラガイの刺身」
タイラガイの貝柱はホタテよりも固めで、しっかりとした食感があります。そのため少し薄めに切り分けます。
タイラガイは1枚あたり1,000円くらいはする高級貝のため、できるだけ枚数を取りたいという目的もありますね笑
そんなのに気にしないよという人は大きく切り分けても良いかもしれません。
タイラガイの身には少し特有の渋み・苦味があります。
ホタテのような柔らかくて甘いお刺身をイメージしていると、味わいの違いにびっくりするかもしれませんが、これこそがタイラガイの醍醐味でもあります。
王道の海苔との組み合わせ「磯辺焼き!」「タイラガイの握り寿司」
貝柱と海苔を炙って磯辺焼きとして食べるのはタイラガイでは定番の食べ方と言えます。貝というのは加熱することで甘味もうま味も増します。
タイラガイの貝柱というのは繊維質で歯切れが良いため、海苔と一緒にしても食べやすいという特徴があります。タイラガイの風味が苦手という人も海苔と合わせると好きという人もいます。
高級食材だからこそ、手の込んだ洋食料理も!
タイラガイは歯ごたえがあるので、その特徴を活かしたフレンチなどの焼き物もおすすめです。
バターとの相性が良いのでムニエルなどはもちろん、タカラガイのしっかりとした食感をあえて強調する形で活かす料理などもあります。