ホッカイエビとはどんなエビ?
ホッカイエビ(ホッカイシマエビ)とは、日本では主に北海道に生息するタラバエビ科に分類されるエビです。その名の通り日本では宮城県以北、主に北海道に生息しているため「ホッカイエビ(北海エビ)」と呼ばれます。
世界的に見ても主要な生息域は北海道東エリアということで、英名も「Hokkai shrimp」と呼ばれます。
流通名はホッカイシマエビ、シマエビと呼ばれることが多い
標準和名は「ホッカイエビ」ですが、体の縞模様が特徴的なことからホッカイシマエビ、シマエビと主に呼ばれることが多いエビです。
一部地域の一時期しか水揚げされない希少なエビ
ホッカイエビ(ホッカイシマエビ)の特徴として、漁場・漁獲時期がかなり限られているという点です。
漁場は主に北海道東の、サロマ湖、能取湖、野付湾の一部地域のみで、漁獲時期も6月中旬から7月中旬の1回目、10月上旬から11月上旬の年2回で、それぞれ2週間限定です。
そのため希少なエビだと言えます。
北海道遺産にも選ばれている「打瀬舟漁」で漁獲される
ホッカイエビの主な漁法は、エビの漁獲方法として定番のカゴ漁と、もうひとつ「打瀬舟漁(打瀬網漁)」があります。
カゴ漁というのはエサを入れたカゴを海底に沈めて、そのエサに集まってくるエビを漁獲するという方法です。他の多くのエビの漁法でも用いられる方法で、海底やエビにダメージを与えずに漁獲できるとう点から資源保護の観点からも優れた漁法です。
もう一つが打瀬舟漁という漁法です。
この漁法は北海道東部にある野付半島・野付湾で行われる明治時代から続いている漁法です。
特徴としては漁を行う時の舟の動力は風のみという点です。
小型の舟に、船体と平行に帆を張り、風と潮力のみを利用して網を引きます。
なぜこのような漁法を行うのかと言うと、ホッカイエビが生息するアマモ域は水深が1〜6mほどと浅く、スクリューなどの動力がある舟で移動するとアマモを傷つけたり海底を荒らしてしまう恐れがあるためです。
この漁法の光景は北海道遺産にも選ばれているほか、漁獲されたホッカイエビは塩茹でされて全国に流通する重要資源でもあります。
ホッカイエビの見た目の特徴
ホッカイエビはサイズは約10cmほどと小型のエビです。
額角には鋸歯が上縁に13〜18歯(うち3〜4歯が甲上)、先端に1〜2歯、下縁には10〜16歯あります。
最大の特徴は、生息域の水草と同じ色、水草に似せた縞模様をしているという点です。
茹でると綺麗な赤色になる
一見、他のエビのような黄褐色や赤色では無く、緑っぽい色をしているので、エビというよりどこか昆虫のような見た目(失礼)をしていますが、茹でるときれいで鮮やかな赤色になるのがホッカイシマエビの特徴です。赤色の縞模様が美しいです。
ホッカイエビの生態
ホッカイエビはアマモやスガモなどの海藻が生い茂っている浅い藻場に生息しています。
他のタラバエビ科のエビには、水深500メートルに生息する甘エビなど、深めの海に生息するエビが多いなか、ホッカイエビは一番浅い海域に生息しているのが特徴的です。
藻場は水深が浅く、鳥などの捕食者からも狙われやすいため、身を隠すために保護色として緑色の体に水草模様の縞模様があります。
ホッカイエビは雑食性で、甲殻類や貝類以外にも植物性のものも食べます。そのため上手に藻場に適した体色へと進化したエビだと言えます。
ホッカイエビの産卵期
ホッカイエビの産卵期は8月下旬から9月下旬にかけてです。
この時期は資源保護のためにも水揚げ禁止となります。
性転換するエビ
ホッカイエビは性転換をするエビです。
他にもアマエビやトヤマエビなどのタラバエビ属のエビも性転換を行います。
ホッカイエビは生まれたときはすべてオスとして成長し、その後10cmほどまで成長してからメスへと性転換します。これは雄性先熟という方法で、魚であればクマノミが有名です。
メスになると受精卵を腹肢(お腹部分の脚)で抱え込み、約9ヶ月間抱卵します。
ホッカイエビの旬
ホッカイエビの旬は漁期に合わせて、主に6月から7月にかけてが旬とされます。
8月から9月は産卵期となるため、一旦禁漁期間を挟み、10月上旬から一部抱卵した子持ちのホッカイエビも漁獲されます。
ホッカイエビの食べ方・調理方法
ほぼこの食べ方一択といえるほどホッカイエビ一般的な調理法は塩ゆでです。
生よりも茹でて食べるほうが美味しい
雑食性のエビでもあるため、生食は向かず、加熱する調理方法がおすすめです。
サロマ湖や能取湖周辺では漁獲されたホッカイエビは塩茹でにされて流通します。塩加減がとても大切だそうで、味を大きく左右すると言われています。
サイズは小さいが身は太く筋肉質で食べ応えがある
サイズは小さめなエビですが、身入りが良く、筋肉質なのがホッカイエビの特徴です。
塩茹でしたものを食べるとぷりっとした歯ごたえにエビの甘み、ほんのりとした塩味でとても美味しいです!
新鮮なうちに茹でることで、赤色と縞模様のストライプが綺麗に出てきます。
塩ゆでが一番ですが、塩加減がサイズや量によってなかなか難しいため、よくわからない場合は、塩ゆでされているものを購入するのが確実でおすすめです。