バナメイエビとはどんなエビ?
バナメイエビ(学名:Litopenaeus vannamei)とは、クルマエビ科に属するエビの一種で、東太平洋のメキシコからペルー北部にかけての沿岸部を原産地とする熱帯原産のエビです。
似た見た目のエビに、「シバエビ」や「ブラックタイガー(ウシエビ)」がいますが、バナメイエビはちょうどその中間くらいのサイズのイメージのエビです。
最大で23cmほどまでになるとされますが、一般的に流通するサイズは10センチほどが多いです。
バナメイエビの特徴
体の色はグレーな暗灰色で、歩脚と腹肢(腹脚)は少し白っぽい色をしています。
そのため英名では「White leg shrimp(ホワイトレッグシュリンプ)」とも呼ばれます。
目立った模様などはなく、死後時間がたってくると全身が白っぽく変色していきます。
額角の上部縁には鋸歯が7~10歯、下縁には2~4歯ほど並んでいます。
他のエビと比較すると、体全体に対して頭の大きさが比較的小さく、歩留まりが良いエビでもあります。
日本では主に「バナメイエビ」と呼ばれ、頭の有無で「有頭エビ」「無頭エビ」とも呼ばれています。
剥いた状態は「むきえび」とも呼ばれます。
天然では一切流通せず養殖が主で、日本には養殖冷凍として輸入されるエビです。
養殖で広く普及した一般家庭を代表するエビ
バナメイエビはスーパーでもよく見かけることができるため、食べたことがあるという人も多いのではないでしょうか?
安価で調理がしやすく、さらには味も良いため、飲食店でもエビと言えばこのバナメイエビが基本的に使われています。
「有頭」「無頭」+サイズで呼ばれるエビ
バナメイエビは箱売り冷凍で流通するエビの代表的存在です。
養殖エビは世界的に幅広く普及している国際商品でもあるため、サイズの規格も国際基準で定められています。
そのため、飲食店や魚屋あるあるですが、冷凍エビを呼ぶ時はまず「有頭」か「無頭」か、そして次にサイズ規格を付けて「無頭13/15」などと呼びます。
ブラックタイガーなどの場合はBTを付けて「BT無頭16/20」などと呼んだりします。
無頭エビのサイズ表
サイズ規格 | 4ポンド(1.8kg)の入尾数 | 一尾の平均の重さ | 一尾の平均の長さ |
---|---|---|---|
2/4 | 8〜16尾 | 112〜225g | 20cm |
4/6 | 16〜24尾 | 75〜112g | 18cm |
6/8 | 24〜32尾 | 56〜75g | 16〜18cm |
8/12 | 32〜48尾 | 37〜56g | 15〜17cm |
13/15 | 52〜60尾 | 30〜34g | 12〜14cm |
16/20 | 64〜80尾 | 22〜28g | 11〜12cm |
21/25 | 84〜100尾 | 18〜21g | 10〜11cm |
26/30 | 104〜120尾 | 15〜17g | 9〜10cm |
31/40 | 124〜160尾 | 11〜15g | 8〜9cm |
41/50 | 164〜200尾 | 9〜11g | 7〜8cm |
51/60 | 204〜240尾 | 8g | 6〜7cm |
61/70 | 244〜280尾 | 7g | 5〜6cm |
71/90 | 284〜360尾 | 6g | 4〜5cm |
上から大きい順となります。最大の規格サイズは2/4 サイズです。
バナメイエビの生態
バナメイエビがなぜここまで幅広く普及し、一般家庭でも馴染み深いエビとなったのかの理由は、バナメイエビの生態にポイントがあります。
バナメイエビは他のエビなどよりも塩分濃度の変化に強く、病気にも強く、成長が早いという特性があるため、養殖に適しているとされます。
塩分濃度の変化に強く、産卵は汽水域で行います。
飼育期間は2〜4ヶ月と、ブラックタイガーのおよそ半分の期間で出荷可能となるため、日本国内でも養殖場が作られるなど、ブラックタイガーよりも流通量が増えてきているエビです。
バナメイエビの旬
バナメイエビは環境が整えば安定的に養殖が可能なエビです。そのため年間を通して味の差はほとんどありません。さらに流通も冷凍で行われるため、旬を意識する必要がありません。
バナメイエビの食味・味わい
バナメイエビの身は甘味がある白身で、加熱すると鮮やかな赤色となり歯ごたえが良くなります。
クルマエビの良さがあるエビ
バナメイはクルマエビ科でもあり、クルマエビの良さを感じることができるエビでもあります。
クルマエビと言えば有名な高級エビですが、バナメイも天ぷらやボイル、焼き物でも美味しく食べられるため、クルマエビの良さを感じることができるエビとも言えます。
基本的に冷凍で出回るバナメイですが、国内の養殖場で養殖されたバナメイは生食も可能です。
ややあっさりと淡白ではありますが、ぷりっとした生ならではの歯ごたえや甘みを味わうことができます。
バナメイエビの食べ方・おすすめの調理方法
バナメイエビは万能なエビなため、基本的にはどんな料理にも向いています。
調理が面倒な人は剥いてある「むきえび」を購入すると良いでしょう。
加熱することで鮮やかな赤色になり、甘みも増すため加熱するのがおすすめです。
他のエビと違ってよくも悪くも派手さが無いエビです。そのため、たくさん手を加える系の料理がおすすめです。
そんなバナメイエビを使った定番メニューをいくつかご紹介します。
エビぷりマヨネーズ
子どもに大人気のエビ料理の定番と言えばエビマヨです!
少し甘めの衣にオーロラソースをあわせるのが最高ですね!
エビチリ
バナメイエビと言えばエビチリとも言えるほどの定番メニューです。
他のエビは高くて使えない!という場合でもバナメイは安価なのでたっぷりと入れることができます。
殻はあえて剥かずに背開きをして少し多めでの油で揚げ焼きするというのもいいですね!
ガーリックシュリンプ
これも定番ですね!お酒が進むメニューです。
バナメイだからこその海老しんじょ
手間がかかるけど個人的に大好きなのが「海老しんじょ」です。
しんじょとは、魚介などのすり身に山芋などを合わせて蒸した料理になります。
はんぺんとかなり似ていて、しんじょの材料にはんぺんが使われることもあります。
海老って言うと少し高い食材というイメージを持っている人も多いかもしれませよね。
たとえばクルマエビとかイセエビなどの高級エビの場合、「ちゃんとそのエビを使っているとわかる料理」を作るのがある意味大切であったりもします。
しかし前述したとおり、バナメイエビはクルマエビのように美味しい海老ですが、見た目の派手さや美しさは無いため、しんじょうのようなすりつぶす料理に向いているとも言えます。
バナメイの目利き・選び方のポイント|冷凍ものを買おう
あまりコレと言って選ぶポイントというものは無く、サイズや殻が剥いてあるかどうかで選べば良いかと思いますが、一つポイントを言うのであれば冷凍ものを買ったほうが良いというのがあります。
バナメイに限った話ではありませんが、これら養殖輸入の魚介というのは産地で加工・冷凍されて日本に輸入されます。
そしてスーパーや飲食店で解凍されて調理・販売をされているんですね。
解凍する工程や時間によってどうしても鮮度は悪くなりますし、食べきれない場合は再冷凍したくなりますが、その場合はさらに味が落ちます。
それであれば、最初から冷凍されているものを購入し、食べる前に使う分だけ崩して解凍して使うというのがおすすめです。
バナメイの名前の由来
バナメイエビの名前はそのまま、学名の「Litopenaeus vannamei(リトペネス・ヴァナメイ)」からきています。