トコブシとはどんな貝?
トコブシとはアワビによく似た巻き貝で、「アワビの小型版」のような貝です。
日本のアワビには、クロアワビ、エゾアワビ、メガイアワビ、マダカアワビなどがいますが、トコブシそれらと比べてかなり小さく、殻長は7cmほどにしかなりません。
トコブシの特徴
トコブシの殻は黒褐色で、個体によっては緑色の斑紋があり、アワビとよく似ています。
殻高も低く、まるで床に伏せるような貝ということで「床伏」と呼ばれるようになったとされます。
アワビに似ている床伏ですが、サイズ以外にも違いがいくつかあります。
トコブシとアワビの違い・見分け方
トコブシとアワビの違いは慣れればパッと見でもわかりますが、サイズが同じくらいだったり、付着物が多いと少し困惑するかもしれません。トコブシとアワビは主に以下のような違いで見分けることができます。
殻の形状
殻の表面に付着物がたくさんついているとわかりにくいですが、大体は殻の形状でなんとなく分かります。
他のアワビ同士は難しいですが、トコブシに限っては殻の成長脈にあまり凹凸が無く、呼水孔(貝殻に一列にならぶ穴:後述)についても、アワビは煙突状に盛り上がりますが、トコブシは盛り上がりません。
そのため貝殻表面は比較的滑らかで平坦なのが特徴です。
形もまるっぽく楕円形です。
そんなトコブシも、伊豆諸島では膨らみが強いフクトコブシ型、薩南諸島では成長脈が線のように強いナガラメ型などもいます。
殻の穴の数(呼水孔)
アワビとトコブシは、貝殻の穴の数で見分けることができます。
この穴は呼水孔と呼ばれ、アワビにもありますが、空いている穴の数がそれぞれ違います。
アワビは4〜5個くらいなのに対し、トコブシは6〜8個ほど穴が空いています。
小さいトコブシのほうが穴の数が多いなんておもしろいですね。
アワビは呼水孔部分が1列に盛り上がっているので、全部穴が空いてるかと思いきや、穴が空いてるのは4、5箇所くらいだけなんですよね。
トコブシの生態
トコブシは日本の北海道以南から九州、台湾など西部太平洋に分布する巻き貝です。
アワビと同じく岩礁域や磯場、藻場などの水深が30m以浅の浅い海域に生息しています。
トコブシの産卵期
トコブシの産卵期は9~10月頃です。
トコブシやアワビは海水温や外部からの刺激で放卵や放精を行うことがあります。
9〜10月頃は台風が日本列島を訪れる時期でもあるため、台風が通過することが、トコブシの放卵や放精の刺激になっているとも言われています。
トコブシの旬
トコブシの旬は地域差がありますが、主には春から夏(5~8月)頃です。
産卵期が9月頃なので、その前の時期は産卵を備えて栄養が蓄えられている状態になります。そのため身がふっくらとして肉質が少ししっかりとして弾力がでます。
トコブシの食べ方・おすすめの料理
トコブシはアワビと同様な調理方法が楽しめますし、トコブシならではおすすめ料理というものもあります。トコブシは小さな貝のため、お刺身で食べても良いのですが、丸ごと煮たり蒸したりする調理方法が多いです。
ツノワタ(肝)も美味しいのでぜひ料理に加えてみましょう!
福を溜める!おせちでもお馴染みの「トコブシの煮物」
トコブシには、伊勢志摩地方独自の呼び名として「福溜・福多目(フクダメ)」と呼ばれたりします。
このことから縁起の良い食材として、おせちにはトコブシが使われるようになりました。
また、おせちとして日持ちをさせるためにも煮貝とされます。
煮る時には酒・醤油・みりんなどであっさりめに煮上げます。
トコブシらしい柔らかさと甘みが堪能できます!
磯の風味を堪能したいのならシンプルに塩茹でもおすすめです!少し強めの塩水でさっとゆであげましょう。ふっくらと磯の香り豊かなトコブシが楽しめます!
夏ならではの味わい!「焼きトコブシ」
トコブシは初夏から夏が美味しい時期なため、海岸でのレジャーやBBQの時に食べるのもおすすめです!味付けは酒と醤油を少し垂らす程度で良いですが、お好みでバターなんかを使っても美味しいです!
シンプルにバターやワインで!「トコブシのソテー・ワイン蒸し」
アワビと同じくバターソテーや酒蒸しが美味しいです!
ワインはもちろん白ワインです。
貝は白ワインとの相性がとてもよく、それはトコブシも同じです。そのためトコブシのワイン蒸しを作ってみるのも良いですね!
トコブシと言えば!「トコブシの炊き込みご飯」
トコブシと言えば炊き込みご飯が定番のメニューでもあります!
入れる具材は人参やタケノコ、油揚げ、しめじなどお好みで、酒・醤油などで味付けして炊き上げます。ツノワタを含めることで風味もぐっと増してトコブシの豊かな旨味が口の中に広がります!