クロアワビとはどんな貝?
クロアワビとは、アワビの中でも美味しく、最高級品として扱われ、日本では古くから神事や慶事で使われてきた伝統的な貝です。
歯ごたえがしっかりとしていて弾力があり、シコシコとした食感があります。噛むごとに磯の香りが広がり、お刺身はもちろん、焼き物・煮物でもおいしいです。
伊勢神宮の神饌に欠かせないのが三重のクロアワビ
伊勢神宮とは言わずとしれた日本最高格式の神宮ですが、そんな伊勢神宮とクロアワビには密接な関係があります。
古来、伊勢神宮を創建した「皇女 倭姫命(やまとひめのみこと)」は、三重の海女から献上されたアワビの美味しさにとても感動したらしく、それが理由で伊勢神宮が伊勢の地に創建されたとまで言われています。
そのため伊勢神宮の神饌(神様への捧げ物)にはクロアワビが欠かせないとされています。
クロアワビの特徴
クロアワビとはその名の通り、全体的に黒っぽいのが特徴です。
サイズは大きいもので殻長15cmほとで、最大で20cmになります。
足裏は黒・緑っぽく、生殖巣の色によって少し色合いが変わることがあります。
黒い縞模様が目立ち、唇部分は黒く、天然物が主なため貝殻には付着物が付いていることが多いです。
アワビは巻き貝「アワビの片思い」
豆知識ですが、一方が思い続けるだけという言葉を表す「アワビの片思い」という言葉があります。
アワビは「貝なのに貝殻が片方しかない」という表現の言葉ですが、実際にはアワビは二枚貝ではなく巻き貝なので、殻が片方という表現は少し違うんですね。殻を見てみると分かるように殻長から渦を巻いているのが分かります。
クロアワビとメガイアワビ(赤アワビ)の違い・見分け方
クロアワビと似た貝はエゾアワビや、メガイアワビ(赤アワビ)、マダカアワビがあります。
エゾアワビはクロアワビの北方派生系のようなアワビなため似ていますが、メガイアワビは少し異なります。
クロアワビはオンガイ(雄貝)と呼ばれるのに対し、メガイアワビはメンガイ(雌貝)と言われることがあります。ただし、クロアワビがオスでメガイアワビがメスとかそういう意味ではありません。
この2種の見分け方はそこまで難しくはなく以下のような特徴で見分けることができます。
殻の形
殻の形はクロアワビと比べると正円に近い形をしており、薄く平べったいイメージです。
比較的クロアワビよりも大型であることが多いです。
色
殻の色は赤褐色で、身の色は黄土色でクロアワビのように黒くありません。
身の形状
ひっくり返して身の部分を見てみるとわかりやすいですが、見は全体的に膨らみがなく、のっぺりしており、クロアワビのような黒い縞模様がありません。
食味の違い
クロアワビは身が硬めでしっかりとしているのに対し、メガイアワビは身が柔らかくお刺身などには不向きとされます。そのためクロアワビのほうがランクが上として流通されます。
クロアワビの生態
クロアワビは、主に浅海の岩礁域・磯場に生息しており、海藻を食べています。
他のアワビよりも浅場にいることが多いとも言われます。
成長スピードは遅く、1年で3センチ、3年で8センチ、5年かかって流通サイズの13センチほどになります。
クロアワビの産卵期
クロアワビの産卵期は地域差がありますが、主には秋から冬(10〜12月)です。
産卵期になるとオスが海水の精子を、メスが海中に卵を放出し、体外で受精が行われます。
卵はしばらく海中を漂いならが孵化し、幼生となり成長を続け、次第にアワビ本来の形へと成長していきます。
アワビのオスメスは、外見じゃわからないけど、生殖腺の色で分かるよ!
白っぽいのがオスで、緑っぽいのがメスだよ。
クロアワビの旬
クロアワビの旬は、一般的には夏です。
産卵期が10〜12月のため、その前の時期ですね。
産卵に備えて栄養を蓄えるので、産卵期前の時期が旬となります。
クロアワビの食べ方・おすすめの料理
クロアワビは希少でとても高価なので、なかなか一般のご家庭で自由に調理するということは少ないかもしれません。
生でも煮ても焼いても美味しいクロアワビですが、やはりおすすめなのは、お刺身・お寿司でしょう!
エゾアワビやメガイアワビよりもしっかりとした歯ごたえがあるので、まずはお刺身・お寿司で食べたいところです。
これぞ最高級の貝の味!「クロアワビのお刺身・お寿司」
クロアワビのコリコリとした食感と、磯の香りはまさに貝を食べているという感じですね!
人によってはお刺身の硬さは好みが分かれたりします。
その場合はより薄めに削ぐように波切りにしたり、塩もみを控えたり、軽く湯引きをしたりします。
包丁の入れ加減によって食感や味わいが変わってきます。
隠し包丁を入れることで、食べた時にアワビの身と舌との接地面積が増えるため、よりアワビの甘みや旨味を感じやすくなります。ただあまり細かく入れすぎると大切な食感が損なわれてしまうので試行錯誤してみましょう。
もしそれでももっと柔らかいクロアワビを食べたいという場合は、酒蒸しがおすすめです!
蒸すことで身がやわらかくなり、甘みも増します。
なんとも贅沢!「クロアワビの残酷焼・踊り焼き・浜焼き」
残酷焼というのは、踊り焼きとも言い、活きたアワビを炭火などとそのまま焼くという調理方法です。
旅館などでは定番の食べ方ですよね!仲居さんが焼いて切ってくれたりします。
見た目は残酷ですが、伝統的な調理方法で、アワビの最期のパワフルな活力を見ることができます笑
洋食ならバターと合わせよう!「クロアワビのステーキ・ソテー」
浜焼きでバターと合わせても良いのですが、アワビは高価なので、できるだけ素材本来の味を素直に感じたいところ。
しかし洋食の場合はどうしても素材を細かく加工しますよね。
そんなアワビの洋食料理でおすすめと言えばやはりステーキやソテーでしょう!
バターはもちろん、ソースにアワビの肝を入れることで、アワビ特有の磯の香りや風味・旨味が堪能できます!