イワガキとはどんな貝?
イワガキ(岩牡蠣)とは、その名のとおり岩そっくりの見た目をした二枚貝です。
殻長は最大で20cmほどになり、重いものは1kgに達するものもいます。
冬が旬のマガキに対し、イワガキは夏が旬のため、「夏牡蠣」とも呼ばれます。
マガキは「海のミルク」と例えられるのに対し、イワガキは「海のチーズ」と言われたりします。
マガキより濃厚な味わいがあり、チーズのように少し渋みがあるため、このような表現がされます。
イワガキとマガキの違い・見分け方
イワガキについて説明するうえでマガキの存在は欠かせません。
世界中で出回っている牡蠣と言えばマガキです。マガキの旬は冬で、夏場はシーズンではありません。
それに対して、夏にシーズンを迎えるカキということで、注目を集めてきているのがイワガキです。
それぞれの違いは、上記画像を見るとわかりやすいですが、マガキは細長いのに対し、イワガキは丸っぽい岩のような形状をしています。
マガキはほとんどが養殖ですが、イワガキは天然のものが多く、表面にはたくさんの藻などの付着物が付いていることが多いです。
マガキよりも殻が分厚く、本当に石・岩のような見た目をしています。
プリッとふっくら大きな身が特徴
イワガキは殻のサイズもそうですが、マガキよりも身が丸く、ぷりっと膨らんだような身をしていることが多いです。特に大きいものはカットして食べたりするほど身が大きくなるものもあります。
平牡蠣(ヒラガキ)と壺牡蠣(ツボガキ)がある
イワガキには形として、ヒラガキとツボガキというものがあります。
ヒラガキというのは以下のように平べったく、高さが無いイワガキのことを言います。
ヒラガキ
貝殻に厚みは無く、上から見ると正円に近いような丸い形をしています。
ツボガキ
マガキと似ていて少し細長く、壺のように内側に深めの窪みがあります。
大きければ良いってものでは無い食材の代表格
魚介などの場合、よく歩留まりがどのくらいかという話をするかと思いますが、歩留まりで言ってしまえばイワガキは本当に最悪の食材です笑
マガキであれば養殖されていて、成長もコントロールされて流通しているため、開いて予想と違うということはほぼありません。
しかし、天然のイワガキは形が不規則であるため、開いてみないことには中身がわからないことが多いです。
天然の岩ガキは開いてみないと分からない
たとえば1キロ以上ある岩のようなイワガキを開いても、可食部の身は100gにも満たないなんてこともあります。
自分もお店でイワガキ開けてみたら想像以上に小さくてショックを受けたことは何度もあります。
さらに蒸したり焼いたりすると縮むので、大きな貝に小さな身、みたいな見た目になってしまいなんとも貧相な感じになってしまいます。。
大きい身のイワガキを当てる方法
これは簡単に言ってしまえば、ツボガキよりヒラガキのほうが身が大きい傾向にあるということです。
ツボガキの場合、殻の高さ自体はあって大きく見えるのですが、中の窪みの深さというのは殻の大きさに比例しないことがほとんどです。これはイワガキは層のように縦方向に殻が成長していくためです。
そのため大切なのが横幅ということになるんですね。
薄く見えるヒラガキ型のほうが身は大きい傾向にあると言えます。そのためヒラガキのほうが高値になることがあります。
イワガキの生態
イワガキの生態はマガキと似ていて、岩礁域や磯場に生息しています。
マガキと違うのが、マガキは内湾の岩礁域に生息しているのに対し、イワガキは外洋側の岩礁域に生息していることが多いという点です。
イワガキの産卵期
イワガキの産卵期は地域差がありますが、7〜10月頃となります。
(参考:季報62号 イワガキ養殖|京都府)
マガキは成長が早いのにイワガキは遅い。養殖も難しい。
同じカキなのにさまざまな違いがあるマガキとイワガキですが、成長スピードも違います。
マガキは環境が良いと1年たたずに出荷できるサイズまで成長するという驚きの成長スピードですが、イワガキは出荷サイズまでに4年以上はかかると言われています。
(参考:イワガキとりネット鳥取県公式サイト)
イワガキの旬
イワガキの旬は夏(5〜9月の範囲内)です。
マガキの旬が冬なのに対し、全く真逆の夏というのがおもしろいですよね。
マガキは冬が旬なのに、なぜイワガキは夏が旬なのか?
これに関しては、産卵方法がマガキとは異なるようです。
多くの貝というのは、産卵期になると勢いよく一気に放精と放卵を行います。
そのためかなりのエネルギーを一度に使うわけですが、イワガキに関しては一度に大量に産卵するということが無いため、産卵期と旬が重なっていても味が落ちないと言われています。
なぜイワガキは生食できるのか?
マガキはいろいろ制限があるイメージですが、イワガキはそうでも無いようなイメージが少しありますよね。人によってはマガキは生食が危険だけど、イワガキはOKだと思っている人もいるかと思います。
ですがイワガキもマガキと同じで、危険性が無いわけではありません。
ごく普通に出荷前に検査がされています。
生食用として販売するには厚生労働省が定めた成分規格基準をクリアする必要があります。さらにはマガキと同じように浄化作業が行われていたりします。
浄化については以下ページをご覧ください。
他にもイワガキはマガキのように内湾性ではなく外洋性ということで、マガキのように有毒な植物性プランクトンを大量に取り込むことが少ないという理由も考えられます。
イワガキの食べ方・おすすめの料理
イワガキのおすすめの食べ方はそのまま生で食べるの一択です!
イワガキは殻の形状がそれぞれ固有であり、殻が大切だということで基本的には剥かれることなく殻付きのまま流通します。
さらにイワガキはマガキのように簡単に剥くことはできず、形状によってはハンマーのようなものが必要になったりもします。
そのため大きな岩みたいなものをたくさん集めて剥いて、一つの料理を作るという気になかなかなれない食材でもありますよね笑
鍋とかアヒージョとかグラタンとか作るなら「マガキで良いじゃん」となりますし。。
焼くにしても、殻が分厚いため殻付きのままだと焼きにくいです。
特徴的な貝殻を器にしたくても、加熱するとどうしても縮むため、見栄えが悪くなります。
そのためやはり生一択です。
イワガキは濃厚な味と特有の渋みがあります。それを堪能できるのも生食ならではです。
レモンやかぼすを絞って食べると清涼感バツグンで、生ビールとの相性がとてもいいですよ!